08 2/06 UPDATE
エイヤ=リーサ・アハティラは1959年、フィンランド出身のアーティスト。ヘルシンキやロンドン、ロサンジェルスで映像を学んだ。時間を自在に行き来するような彼女の作品はベネツィア・ビエンナーレやカッセルのドクメンタなど主要な国際展にも招待され、高く評価されている。その彼女の、日本では二度目の個展が四国で開かれている。
彼女の作品には自らが経験したことや感じたことが反映されているけれど、自叙伝を作品化しているわけではない。登場人物たちは時に肉親の死といった人生の危機を迎え、不安におびえる一方で誠実さや一貫した何かを求めている。作品によってはあるできごとが繰り返し現れたり、視点が不規則に入れ替わる。俳優の性別とは違う性別や年代の声が、彼(または彼女)のごく個人的でショッキングな経験を語ることも。こんな映像に、見る者によっては実話とファンタジー、他者の経験と自らの記憶の境界線を突き崩されるような感覚に陥ることもあるだろう。
今回の個展で展示される「祈りのとき」は、愛犬の死というアハティラ自身の経験をベースにしたもの。真冬のニューヨークから11ヶ月後の西アフリカ・ベニンでの出来事まで、さまざまなシーンが4面のスクリーンに展開される。新作「漁師たち」は西アフリカのどこかで嵐の中、出港した漁師たちの映像だ。暴風と高波に翻弄されて船は転覆し、漁具が海に散らばる。
どのシーンも詩的で、抑制のきいた美しさに満ちている。アハティラが生み出す幾重にも積み重なった時間と映像の海に、いつまでもたゆたっていたい気持ちになるはずだ。
Text: Naoko Aono
エイヤ=リーサ・アハティラ展
2月3日~3月23日
[問]丸亀市猪熊弦一郎現代術館
香川県丸亀市浜町80-1
10:00~18:00 会期中無休
一般950円
Tel. 0877-24-7755
http://www.mimoca.org/
EIJA-LIISA AHTILA
THE HOUR OF PRAYER, 2005
14 min 12 sec,DVD-installation for 4 projections, 4:3, sound DD 5.1, original language English
Courtesy of Marian Goodman Gallery, New York and Paris
© 2005 Crystal Eye - Kristallisilma¨ Oy
EIJA-LIISA AHTILA
FISHERMEN / E´tudes no. 1, 2007
5 min 34 sec, DVD installation for 1 projection, 4:3 / 1:1.33, Stereo surround, no dialogue
Courtesy of Marian Goodman Gallery, New York and Paris
© 2007 Crystal Eye - Kristallisilma¨ Oy
EIJA-LIISA AHTILA
THE HOUR OF PRAYER, 2005
14 min 12 sec,DVD-installation for 4 projections, 4:3/ 1:1.33, sound DD 5.1, original language English
Photographed by Pablo Mason at Museum of Contemporary Art San Diego, 2007
Courtesy of Marian Goodman Gallery, New York and Paris
© 2005 Crystal Eye - Kristallisilma¨ Oy