08 6/09 UPDATE
古典的な絵画を思わせる静謐なモノクロ写真に劇的な、ときにあからさまに性的なモチーフを表現してセンセーションをまきおこしたロバート・メイプルソープ。彼がエイズでこの世を去ってから20年近い歳月が経つ。その彼が20代だったころ、1970年から75年にかけて大量のポラロイド写真を撮影していた。これまでほとんど発表されたことのないそれらの写真が、ニューヨークのホイットニー美術館で展示されている。
被写体の多くは彼自身やルームメイトだったパティ・スミス、コレクターのサム・ワグスタッフら親しい友人たちだ。それらの中には後の彼の写真に見られる計算されつくした構図やライティングによる完璧さに比べると、ややラフな印象を与えるものもある。が、エレガントな美、セレブリティ、フェティシズム、セックスなど、彼にとって重要なモチーフはすでにこの時期から現れている。また、洗練されたスタイルはほぼ完成されたものだ。
メイプルソープがポラロイドを始めた1970年は、彼が自身の性的アイデンティティを模索し始めた時期とも重なる。また、彼がポラロイドから離れたきっかけは75年にサム・ワグスタッフからハッセルブラッドを贈られたことだった。つまりこの時期は、メイプルソープがアーティストとして、また人間として大きな成長を遂げた時期にあたる。40年あまりという短い生涯を駆け抜けた天才の早熟さと、新たな一面を発見できる。
Text:Naoko Aono
「Polaroids: Mapplethorpe」
開催中~9月7日まで
11:00~18:00(金13:00~21:00)
月・火休
一般15ドル
Whitney Museum of Armerican Art
945 Madison Avenue at 75th Street
New York, USA
(212) 570-3600
Robert Mapplethorpe, Untitled (invitation to Light Gallery opening), 1973Embossed gelatin silver print with adhesive dot and Polaroid film sleeve4 1/8 x 5 1/5 in. (10.5 x 13 cm)Collection of Robert Mapplethorpe Foundation
Robert Mapplethorpe, Untitled (Patti Smith), 1973.Monochromatic dye diffusion transfer print (Polaroid)5 1/8 x 4 1/8 in. (13 x 10.5 cm)Collection of Robert Mapplethorpe Foundation