08 6/18 UPDATE
今から150年前に写真が発明されたころは、長時間の露光が必要だったため、人を撮るときは何分も静止してもらわれなければならなかった。露光時間が短くなり、カメラが小型化すると町を行く人も撮れるようになる。「Street & Studio」展は19世紀から20世紀にかけて都市部で撮られた人物写真を通じて、スタジオとストリートの写真の歴史について考察するもの。300点以上の作品が並ぶ、見応えのある展覧会だ。
展覧会は19世紀末、写真の黎明期から始まる。そのころ、スタジオで撮られた写真はまるで絵画か舞台写真のように芝居がかったものだ。一方、ストリート写真の始まりは20世紀に入った頃、カメラで隠し撮りができるぐらいに小さくなってから。アルフレッド・スティーグリッツが撮ったパリの街角の光景などが並ぶ。
二つの世界大戦に挟まれた時期には、ストリートではアウグスト・ザンダーがさまざまな職業のカタログを作るように人々のポートレイトを撮っている。スタジオではセシル・ビートンがセレブたちのエレガントな姿をとらえた。
戦後になると写真の表現は多様化する。事件や犯罪現場の生々しい光景をとらえたウィージー、華やかな都市の裏側でうごめく人々の姿を暴き出すダイアン・アーバス。自らがモデルとなり、ストリートで見かけた人をスタジオで再現するシンディ・シャーマンといった、ねじれた操作で作品を作るアーティストも出現した。ウィリアム・クラインがストリートで撮影したヴォーグのためのファッション写真といったものもあり、ストリート写真とスタジオ写真との関係がより複雑になっているのがわかる。
展覧会には日本の森山大道や荒木経惟の作品も。写真史を新鮮な視点で読み解く、意欲的な試みだ。
Text:Naoko Aono
「Street & Studio: An Urban History of Photography」
開催中~8月31日
10:00~18:00(金・土~22:00)
無休
一般£10
[問] テート・モダン
Bankside, London
tel. 020 7887 8888
http://www.tate.org.uk/modern/
Juergen Teller
Eva Bodenhoff, 20th October 1998 (from the series Go Sees)
1998Courtesy of Juergen Teller and Lehmann Maupin Gallery
© Juergen Teller
Joel Sternfeld
Attorney with laundry, corner Bank and West 41 street, NYC 1988
Museum Folkwang, Essen
© Joel Sternfeld courtesy Pace/Mac Gill Gallery, New York
C-Print
138 x 111 cm
Cindy Sherman
Untitled #366 1976/2000
Courtesy Hamburger Kunsthalle / bpk
© The Artist and Metro Pictures . Photo: Christoph Irrgan
Garry Winogrand
New York undated
Galerie Thomas Zander, Cologne
© The estate of Garry Winogrand, courtesy Fraenkel Gallery, San Francisco
Gelatin silver print223 x 353 mm