09 1/26 UPDATE
新作を発表するたびに全く違う作風を展開しているかに見えるジェームズ・ウェリング。1951年アメリカ・コネチカット州生まれ、30年以上にわたって活躍しているアーティストだ。アルミホイルを使ったものやモノクロの抽象的な作品を制作していたかと思うと、街角を撮ったスナップのような写真もある。植物のシルエットを色鮮やかに表現した作品も。東京では3年ぶりの個展になる「Notes on Color」でも彼の新しい挑戦が見られる。
今回展示されるのは彼の出身地、コネチカットで約60年前に建てられたフィリップ・ジョンソン自邸「グラスハウス」をモチーフにしたもの。カラーフィルターやレンズフレアで色彩や光を強調し、非現実的とも見える光景を印画紙に定着させる。「Quadrilaterals(四角形)」シリーズでは90種類ものボール紙をスキャンしランダムに構築し、影をつけて立体感を出した。現実ではない光景が、写真とグラフィックソフトで作り出されている。
ウェリングはかつて、「私にとって理想的な作品とは観客がもつれた糸をほぐすように、段階的に理解できるような写真だ」と語ったことがある。幾重にも重なった物語を一度にではなく、順番に読み解いていくイメージだ。光と色彩が織りなす未知の世界を探究するウェリングの新作にも無限に続く物語が隠されていそうで、目が離せない。
Text:Naoko Aono
ジェームズ・ウェリング「Notes on Color」
2月5日〜3月14日
ワコウ・ワークス・オブ・アート
東京都新宿区西新宿3-18-2-101
11:00〜19:00
日・月・祝休み
tel. 03-3373-2860
http://www.wako-art.jp/
「6009」
2008, Acrylic on inkjet print
19.1x27.9cm, Unique
「6618」
2008, Acrylic on inkjet print
18.4x27.9cm, Unique
©James Welling
Courtesy of Wako Works of Art