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就任以来、次々と「CHANGE」（改革）を推し進めているオバマ新大統領。その誕生に一役かったかもしれないのがシェパード・フェアリーだ。彼がデザインしたオバマのステッカーやポスターは世界中のストリートに貼られてゲリラ的なキャンペーンに発展。ついには「TIME」誌の表紙にもなった。ボストンの美術館で開かれるフェアリーの個展にはこのオバマのアイコンを始め、約80点の作品が展示される。

この展覧会はフェアリーの代表作「オベイ・ジャイアント」が生まれてから20周年を記念して開かれるもの。プロレスラー、アンドレ・ザ・ジャイアントをモチーフにした作品だ。それ以来フェアリーはストリートやコマーシャルなど、あらゆる種類のアートを手がける。次第にギャラリーでの展示も増え、今回の個展に至るというわけだ。フェアリーはアート界のさまざまなルールを壊してきた。純粋芸術家なのか、コマーシャル・アーティストなのか、グラフィックデザイナーなのか、はたまたビジネスマンなのか、そんなカテゴリー分けは彼がもっとも嫌うところだ。

彼の作品には「CHANGE」を誘発するパワーがある。観客に、階級社会や権力の濫用、アートを投機の対象にすることの是非を考えさせる。「僕の作品の本当のメッセージは『あらゆるものを疑え』ってことなんだ」とフェアリーは言う。

この個展ではギャラリーでの展示のほか、美術館の建物の壁やボストンの町中にもフェアリーの作品が出現する。都市と時代をまきこむアートの本領を体感しに行こう。

Text:Naoko Aono