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Ryoji Ikeda「+/- [the infinite between 0 and 1]」

Ryoji Ikeda「+/- [the infinite between 0 and 1]」

圧倒的な量の数字と干渉する電子音が
何かを覚醒させる池田亮司のアート。

09 4/30 UPDATE

音楽と数学。感性と論理。一見、正反対のベクトルを持つかに見える二つの要素は共通したものを持っている。たとえば音楽を構成する音は周波数という数に置き換えることができる。美しい音と同様、美しい数というのも存在する。東京都現代美術館で開かれている池田亮司の個展を見ていると、そんなことを考えてしまう。

池田亮司は1995年、アルバム「1000 fragments」でデビューした電子音楽作曲家/アーティスト。CDやコンサートだけでなく、カールステン・ニコライ、アーティストの杉本博司、建築家の伊東豊雄、アーティスト集団ダムタイプなど幅広いジャンルのクリエイターたちとコラボレーションしている。東京都現代美術館での個展は「+/- [the infinite between 0 and 1]」と題されたもの。プラスとマイナス、0と1、二つの要素をめぐる対立と無限とが観客にさまざまな体験をさせてくれる。

展覧会は二つのフロアで展開されるインスタレーションで構成される。1階では黒い背景に10の映像と、見る人の前にそびえる巨大な映像とが投影されている。大量の数字が現れる映像や、何かの座標のように見える映像からはそれぞれ電子音が流れる。床も壁も白い箱の中でオブジェが浮いているような地下2階で体験できるのは、位置によって違う音が聞こえてくるインスタレーションだ。音という見えないものによって、自らの存在や機能を改めて自覚させられる。

心臓の鼓動や脳神経を走る電気信号を数値化し、あるいは電子音で制御するかのような映像と音。圧倒的な量で提示される白と黒の数字が、身体の中で眠っていた何かを覚醒させる。

Text:Naoko Aono

Ryoji Ikeda
「+/- [the infinite between 0 and 1]」

開催中〜6月21日
東京都現代美術館
東京都江東区三好4-1-1
10:00〜18:00
月休(5月4日は開館)
一般1000円
tel. 03-5245-4111


1data.tron [8k enhanced version]
©ryoji ikeda 2008
Photo: Liz Hingley [参考図版]

2data.tron [8k enhanced version]
©ryoji ikeda 2008
Photo: Liz Hingley [参考図版]