09 7/21 UPDATE
1936年東京生まれの田名網敬一、1969年ウェールズ生まれのピート・ファウラー。二人の接点はウェールズ出身のバンド、Super Furry AnimalsのCDジャケットでのコラボレーションだった。常人には思いつかないようなサイケなイメージを繰り出す田名網と、架空のモンスターの世界「モンスタリズム」を生み出したピートとが再びコラボレーション、ポール・スミス スペースのギャラリーで展覧会を開く。
田名網敬一は1960年代から70年代にかけてアヴァンギャルドなグラフィックデザインやアートブック、実験的な映像作品で注目を集める。日本の反芸術運動「ネオダダジャパン」やロバート・ラウシェンバーグ、アンディ・ウォーホルらとも交流。81年に胸膜炎で入院した際、「松」の幻覚に悩まされ、その後、松や鶴、象などアジア的なモチーフを扱うように。モットーは「好きなことを好きなようにやる」。若いときに熱中した岡本太郎の影響だという。
ピート・ファウラーは雑誌「GQ」やソニーで働いた後、自分がデザインしたトイを生産する会社「Playbeast」を設立。自らデザインしたモンスターが住むモンスター・ワールド、「モンスタリズム」という世界を作り上げている。とぼけた不気味さを漂わせる造型のルーツは子どものころに好きだったネッシーや雪男、幽霊といった怪奇現象にあるのだそう。音楽好きでレコード・コレクターでもある。
今回のコラボレーションはSuper Furry Animals のアルバム「Dark Days / Light Years」のアートワークから発展した、音からのインスピレーションをもとにしたもの。田名網は「異界へのミステリアスな旅」をテーマに、もう一つの世界への入口である夢や、記憶に残った無数のイメージを集め、切り刻み、シャッフルして独特の奥行きと広がりを持つ世界を作り上げた。田名網をリスペクトするピートは互いのイマジネーションを行き来し、思いがけない方向へ作品が進んでいくことを楽しんでいる。
世代も国も違う二人がタッグを組み、ますますパワーアップしたグラフィックを展開する。予想もしないことが起きても不思議じゃない、そんな気分になってくる。
Text:Naoko Aono
「DREAM EMPIRE 夢の帝国」
8月1日〜8月23日
Paul Smith SPACE GALLERY
東京都渋谷区神宮前5−46−14−3F
11:00〜20:00、水曜休
Tel. 03-5766-1788
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