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アイ・ウェイウェイ展 ── 何に因って?

アイ・ウェイウェイ展 ── 何に因って?

現代中国を代表する正体不明の鬼才、
アイ・ウェイウェイの作品がわき出す現場に立ち会う。

09 7/23 UPDATE

2008年北京オリンピックのメインスタジアムではスイスの建築ユニット、ヘルツォーク&ド・ムーロンとコラボレーション。2007年の国際美術展「ドクメンタ」で1001人の中国人をドイツまで連れてきて合宿させ、そのプロジェクト自体をアートにしてしまう。拠点を置く北京では自宅兼スタジオの他、ギャラリーやスタジオ用ユニットを設計、「798芸術地区」に続く北京第2のアートゾーンを形成しつつある。彼を紹介するときにつけられる肩書きはアーティスト、キュレーター、作家、出版業者、建築家とさまざま。この男、アイ・ウェイウェイは何者なのか? その一端がかいま見られるかもしれないのが、森美術館で開かれる個展『アイ・ウェイウェイ展--何に因って?』だ。

アイ・ウェイウェイは1957年、北京生まれ。父は現代中国を代表する詩人、アイ・チン。78年に北京電影学院に入学、79年と81年に、当時主流だった社会主義リアリズムを否定し、表現の自由を訴えた前衛芸術集団「星星画会」展に参加する。その後まもなくニューヨークに渡り、12年間をアメリカで過ごした。93年に帰国してからは出版や展覧会を通じて若手アーティストを支援、また自身も数多くの国際展に招待されている。

今回の個展に並ぶのは90年以降の作品が中心。どっしりした茶色の立方体は1トンの中国茶を圧縮したブロック。展示室の隅に1本脚で立つテーブルは古いテーブルを解体し、意味をなさない形に再構成したもの。直径1メートルの磁器のうつわには淡水真珠が盛られている。木でできた中国の地図は、清王朝時代の寺院に使用されていた鉄木を高度な技術で彫りこんだもの。おなじみの「コカ・コーラ」のロゴが描かれているのは唐時代(紀元前206年〜紀元24年)の壺だ。中国の奥深い歴史と工芸、建築から多様な物語や意味を抜き出し、思いもよらない形で再構築する。その手つきには感服せざるを得ない。

この個展では会場にあわせたインスタレーションや新作6点も展示。猛スピードで世界を駆け抜けていく彼の頭の中に何があるのか、理解できないとはしてもその場を共有する価値はある。

Text:Naoko Aono

『アイ・ウェイウェイ展 ── 何に因って?』

7月25日〜11月8日
森美術館
東京都港区六本木6−10−1 六本木ヒルズ森タワー53階
ハローダイヤル 03-5777-8600
10:00〜22:00(火〜17:00、9月22日、11月3日は〜22:00)
一般1500円

http://mori.art.museum

1《中国の地図》
2004年
清時代の寺院に使用されていた鉄木(1644-1911)
高さ51cm、o200cm
© FAKE Studio

2《コカ・コーラの壺》
1997年
唐時代の壺 (206BC-24AD)、塗料
24cm, o18cm
© FAKE Studio

3《三本足のテーブル》
2006年
明代後期もしくは清代初期のテーブル(1368-1911)
116 x 155.5 x 155.5cm
© FAKE Studio