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「ルイス・バラガン邸をたずねる」展

「ルイス・バラガン邸をたずねる」展

ルイス・バラガンが生み出した
至福の空間に身を浸す。

09 9/01 UPDATE

そこに身を置くだけでなぜか気持ちがよくなってくる空間というものがある。ルイス・バラガンの建築はそんな独特の心地よさを持つ空間の一つだ。その空間を東京で味わえるチャンスがやってくる。ワタリウム美術館で開かれる「ルイス・バラガン邸をたずねる」展で「バラガン邸」がそのまま再現されるのだ。

裕福な農園の息子として生まれたバラガンは大学で土木を勉強後、2度にわたってヨーロッパを訪ねる。最初のヨーロッパ旅行では自らのルーツともいえる地中海文化と出合った。2度目のヨーロッパ旅行ではモダニズムの傑作「サヴォア邸」を完成させたばかりのル・コルビュジエと会い、大きな衝撃を受ける。が、40代になってとりくんだ自らの家「バラガン邸」ではル・コルビュジエのインターナショナル・スタイルとは異なる道を目指した。メキシコ特有の色彩や造型感覚を独自のやり方でモダニズムと融合させたスタイルだ。

バラガンの建築には友人の画家、チューチョ・レイエスや彫刻家、マティアス・ゲーリッツも少なからぬ影響を与えている。レイエスはバラガンより22歳上、奔放な具象画を描く傍ら、骨董の取引もしていた。ゲーリッツは現在のポーランド出身、幼少期をドイツで過ごし、画面を単色で塗りつぶしたような抽象画を描いている。静と動、対照的な二人の感性がバラガンの空間に奥行きを添える。

東京での展覧会で会場構成を担当するのは建築家の妹島和世+西沢立衛/SANAA。内部には本物のバラガン邸に残る家具や骨董品が運び込まれる。ダイニングでお茶を飲んだり、書斎で本を読んだりすることも可能だ。バラガンが40年間を過ごした自邸に招かれたような気分を味わえる。バラガンの空間に触れる心地よさを確かめられる展覧会だ。

Text:Naoko Aono

「ルイス・バラガン邸をたずねる」
9月9日〜2010年1月24日
ワタリウム美術館
月休 一般1000円(会期中何度でも入場できるパスポート制)

http://www.watarium.co.jp

1マティアス・ゲーリッツ「メッセージ」(1957年)の前に立つルイス・バラガン

2ルイス・バラガン邸(1947年)書斎

3ルイス・バラガン邸(1947年)居間