12 4/04 UPDATE
昨年、赤い大きなチューブに吸い込まれそうなアニッシュ・カプーアのインスタレーションで人々の度肝を抜いた「Monumenta」。パリのグラン・パレの広さ13500平方メートル、高さ35メートルの大空間で行われるアート・イベントだ。このイベントが始まったのは2007年。これまでカプーアの他、アンゼルム・キーファー、リチャード・セラ、クリスチャン・ボルタンスキーらそうそうたるメンバーが登場している。今年開催される「Monumenta 2012」の主役はダニエル・ビュラン。1938年フランス出身、50年に及ぶキャリアを誇るベテランのアーティストだ。
彼はこれまで世界各国で2000回にわたって作品を展示してきた。ビュランはその場の特性にあわせてインスタレーションを制作する。パリのパレ・ロワイヤルでは広場を取り囲む柱の間隔にあわせて短い円柱を立て、黒いストライプを施した。ルクセンブルグの美術館、MUDAMでの個展ではドーム状になったガラスの天井に光を透過する赤や青、緑、黄色などのシートを貼り、白い壁にカラフルな影が落ちる、という作品を展示した。彼はストライプなどの要素を「ヴィジュアル・ツール」と呼び、色を「純粋思考」と呼んでいる。それらによって作られたアート作品は積極的に観客を誘い込む。観客は気付かないうちに作品の中に入り込み、その一部となっている、ということも珍しくない。
「Monumenta」でビュランは20年以上コラボレーションしているパトリック・ファラーニュの他、2人の建築家にも協力を要請した。彼のアートは現代美術が持つ堅苦しさ、難解さとは一線を画するもの。巨大な祝祭空間がこれまで感じたことのない解放感を味わせてくれるだろう。
text: Naoko Aono
Monumenta 2012 - EXCENTRIQUE(S) travail in situ
5月10日〜6月21日
Grand Palais
Nave of the Grand Palais - North entrance
Avenue du Général Eisenhower - 75008 PARIS
[問] [email protected]
入場料: 5ユーロ
10時〜19時(火曜、木曜〜日曜は10時〜真夜中)
http://www.monumenta.com/
会場のグラン・パレを視察するダニエル・ビュラン。
MONUMENTA 2012 - Daniel Buren - Daniel Buren dans la Nef du Grand Palais. Photo Farida Bréchemier - Tous droits réservés Monumenta 2012, ministère de la Culture et de la Communication.
パリ、パレ・ロワイヤルに設置したパブリック・アート。
Crédits: Photo-souvenir : Les Deux Plateaux, sculpture in situ, cour d'honneur du Palais-Royal, Paris, 1986. Détail © DB / ADAGP Paris
2010年にルクセンブルグの美術館、MUDAMで開催された個展でのインスタレーション。
Crédits: Photo-souvenir : Architecture, contre-architecture : transposition, travail in situ, MUDAM, Luxembourg, 2010. Détail © DB / ADAGP Paris