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大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2012

大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2012

里山とアートと食事と温泉と。
越後妻有を遊びつくすアートの祭り。

12 7/19 UPDATE

緑濃い里山や、よく手入れされた棚田のそこここにアートが顔を出す。かわいらしい木造の民家の扉を開くと中には思いがけない不思議空間が広がる。そんな楽しい美術の冒険の季節がまたやってきた。「大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ2012」は今年で5回目になるアートフェスティバル。国内外から約310組のアーティストや建築家たちがこのために腕を振るう。前回まで4回開かれた「大地の芸術祭」で制作されたもので今回も公開されるものもあるし、とにかく会場が広いから(760万平方メートル!)クルマで2、3日走り回ったぐらいでは回りきれないほどだ。

今回の見どころのひとつは十日町駅前の「越後妻有交流館キナーレ」をリニューアルオープンした「越後妻有里山現代美術館[キナーレ]」。ここの中庭にはクリスチャン・ボルタンスキーが古着の山を築く。山の上にはクレーンがあり、古着を持ち上げては落とす。エントランスの吹き抜けには、高い天井にゲルダ・シュタイナー&ヨルク・レンツリンガーが地元で集めたものをつり下げたインスタレーションを設置する。2階にはレアンドロ・エルリッヒ、エルムグリーン&ドラグセット、クワクボリョウタらの作品が。どれも一癖も二癖もあるアートばかりだ。

松之山エリアでは昨年、東日本大震災の翌日に起きた長野県北部地震で全壊した「オーストラリア・ハウス」を再建、アンドリュー・バーンズ・アーキテクトによる木造の小さな建築が完成した。ギャラリーのある家のような建物だ。十日町エリアでは閉校した小学校が土の魅力を伝える美術館「Soil Museum もぐらの館」に生まれ変わる。陶芸家、内田鋼一や写真家、中里和人らが床や壁を土で塗ったり、土を使ったオブジェや写真を見せる。今回の大地の芸術祭から始まった「JR飯山線アートプロジェクト」はJR飯山線の駅周辺にアートを設置するプロジェクト。今回は下条駅前にみかんぐみ+神奈川大学曽我部研究室の「下条茅葺きの塔」と、越後田沢駅前にアトリエ・ワン+東京工業大学塚本研究室の「船の家」を作る。「船の家」には河口龍夫の作品も置かれる。

その他に除雪車10台がダンスを踊る「スノーワーカーズ・バレエ2012雪上舞踏会」などのパフォーマンスやパレード、ワークショップなども。会期中は公式バスツアーや「のりおりバス&タクシー」(金〜月、祝、お盆限定)が運行される。「黎の家」(松之山エリア)ではタイのアーティスト、リクリット・ティーラヴァニットのカレーが食べられるカフェも。その他の食事、温泉スポットも多数。何日いても楽しめる盛りだくさんな祭りだ。

text: Naoko Aono

大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2012
2012年7月29日〜9月17日

越後妻有地域(新潟県十日町市、津南町)
tel: 025-757-2637(大地の芸術祭実行委員会事務局)
http://www.echigo-tsumari.jp/


1鞍掛純一+日本大学芸術学部彫刻コース有志《脱皮する家》2006年
松代エリア・星峠
photo: Kazue Kawase

2アントニー・ゴームリー《もうひとつの特異点》2009年
十日町エリア・二ツ屋
photo: Takenori Miyamoto+Hiromi Seno

3クリスチャン・ボルタンスキー《No Man's Land》参考写真(MONUMENTA 2010 Christian Boltanski "PERSONNES" / GRAND PALAIS photo: A. Shiraha)
十日町エリア・越後妻有里山現代美術館[キナーレ]