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サイドコア‐身体/媒体/グラフィティ‐

サイドコア‐身体/媒体/グラフィティ‐

世界の見方を変える、リアルな身体がつくるアート。

13 3/12 UPDATE

「ストリート」という言葉との再定義を試みるアートで話題となったグループ展「サイドコア」。昨年8月に開かれた第1回に続き、第2回目が開かれる。場所は寺田倉庫が新しくオープンさせた大型の展示スペース「Terratoria」。このスペースのこけら落としとなる展覧会だ。

今回はメディアと身体がテーマ。従来の映画やテレビに加え、インターネットやケータイの登場で私たちは常に大量の情報にさらされ、身体性から遠ざかりつつある。「サイドコア‐身体/媒体/グラフィティ‐」ではそんな中で、よりリアルな身体やその痕跡を感じさせるアートをピックアップした。

たとえば松下徹はキャンバスをろくろで回転させてカラースプレーを吹きつけ、その際にできる模様や塗料が乾いてできるひび割れをそのまま作品にする。その色や形、ひび割れは作者の意志を超えた、コントロールのきかない造形だ。スプレーを持つ手とろくろの回転が偶然につくり出す形は二度と再現することができない。一回限りの形にはかなさ、一瞬の偶然が定着している。

菊地良太は一時、プロのフリークライマーを目指したという経歴の持ち主。駅前にあるオブジェや陸橋などに自らクライミングし、それを写真や映像に収めるというアートを発表している。都市という巨大な存在に比べると、小さすぎるとも思える生身の肉体が適確なラインを探しあて、上へと移動していく。都市を自らの身体で確かめ、新たな道筋をつけていくことで世界との関わりを再構築するかのようだ。

多過ぎる情報に飲み込まれて自分がどこにいるのかわからない。そんなときにこんなアートが足をつけるべき地面を教えてくれるかもしれない。メディアを通じた情報にはない熱さも魅力的な展覧会だ。

text: Naoko Aono

『サイドコア‐身体/媒体/グラフィティ‐』
3月23日〜4月21日の木〜日曜

Terratoria
東京都品川区東品川2−6−10 寺田倉庫2階
12:00〜19:00
月〜水、3月29日休
http://sidecore.net/


(クレジット)
1松下徹(参考作品)
「Abstracted and Abandoned」
2012 solo exhibition view

2菊地良太(参考作品)
「observation」
インクジェットプリント2010