honeyee.com｜Web Magazine「ハニカム」

疎外もしくは消費された素材やイメージからアートオブジェを創造することで価値体系というものを探索している若手新進作家、ヒュー・スコット=ダグラス。彼による注目の新作展「A Broken Mule」がアジアのどこよりも早く、東京のカイカイキキギャラリーで開催される。

タイトルの「A Broken Mule」は「壊れたラバ」という意味。ラバは日本ではあまり一般的な動物ではないが、雄ロバと雌馬の交配により産まれる家畜で、馬のように高い地位や取引上の価値を持たない一方、ロバが持つ経済性と使い勝手を備えている。今回の展覧会では、ラバのように「生産性を上げるためのツール」という本来の価値を発揮できないようにしてしまった場合、どういった現象が起き、どのような新しい価値が産まれるのかというメッセージが込められている。

出展作品は主に2つの種類に分かれており、1つはスクリーントーンを使って生み出されるイメージを直接木のパネルに印字した作品。もう1つは、使用済みの切手やデジタル素材を印字した木をばらばらに解体し、組み直すという立体作品。パネル作品で使われるスクリーントーンをラバに置き換えかえた場合、どういった新しい価値が産まれるのかを一例として紹介している。弱冠25歳ながら欧米アートメディアがデビュー以来、注目の新人として動向をウォッチされるスコット=ダグラスの新作展は2月14日（金）まで。

text: takumi suzuki