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室町時代から刀剣の研ぎなどを手がけてきた有力町衆、本阿弥家に生まれた光悦。元和元年(1615年)、本阿弥光悦は徳川家康から京都西北にある鷹ヶ峰に広大な土地を与えられる。彼はここに一族縁者や職人たちを呼び寄せ、"芸術村"を作った。これが琳派の始まりと目されている。今年はそれから400年の節目の年。琳派作品のコレクションも充実している細見美術館では名和晃平ら現代美術作家が美術館のコレクションから共演したい作品を選び、コラボレーションするという展覧会を開く。古今が出合う試みだ。
琳派では同様の、親族や師弟関係ではない絵師や工芸家とのコラボレーションが多く行われてきた。本阿弥光悦は俵屋宗達を見出し、宗達の絵に光悦の書を書いた和歌絵巻などを残している。光悦が没して約20年後に生まれた尾形光琳は宗達の「風神雷神図」を模写、弟の尾形乾山が焼く陶器に絵付けをするなど、兄弟での共作も多い。光琳が世を去ってから生まれた酒井抱一は光琳に私淑、光琳の作品をまとめた『光琳百図』を出版し、光琳に倣って「風神雷神図」を描いている。古美術と現代美術のコラボレーションは一見、奇妙なものにも思えるけれど、琳派の精神から見るとごく自然なことなのだ。
登場する現代美術作家はいずれも京都に縁のある人々。近藤髙弘は京都生まれ、陶の素材や技法を軸に土やガラス、金属などによる作品を作っている。京都で職人たちと机を並べて学んだ名和晃平は現在、京都市内にクリエイティブ・プラットフォーム「SANDWICH」を構え、アーティストやデザイナー、建築家などさまざまなジャンルのクリエイターとコラボレーションを展開している。山本太郎は京都の美大に在学中、昔ながらの寺社仏閣とファストフード店が混在する京都の風景にインスピレーションを受け、日本の古典絵画を現代の視点で再構成した「ニッポン画」を描いている。伝統を受け継ぎながらも進取の精神に富む京都だからこそ生まれる、古今のコラボレーションなのだ。
text: Naoko Aono
琳派四百年 古今展
‐細見コレクションと京の現代美術作家‐
会期:開催中〜2015年7月12日
会場:細見美術館
京都府京都市左京区岡崎最勝寺町6-3
TEL: 075・752・5555
10:00〜18:00(入館は17:30まで)
月曜休
一般1100円
神坂雪佳「金魚玉図」
「金銅春日神鹿御正体」重要文化財
尾形乾山「色絵唐子図筆筒」