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「オノ・ヨーコ|私の窓から」

「オノ・ヨーコ|私の窓から」

オノ・ヨーコの原点と現在を探る

15 10/20 UPDATE

2004年、東京都現代美術館で個展「YES オノ・ヨーコ」を開いたオノ。それから11年ぶりに彼女が東京に戻ってくる。11月に開かれる「オノ・ヨーコ|私の窓から」では前回とはまた違う、オノの側面が見られる。

オノ・ヨーコは1933年、東京で生まれ、幼年時代を東京、ニューヨーク、サンフランシスコで過ごした。開戦前に帰国、戦後は東京とニューヨークで過ごす。1950年代からニューヨークでアートや音楽を学び、作家として活動を始める。60年代から東京やニューヨーク、ロンドンなど世界各国で作品を発表してきた。国境やカルチャーを超えて活躍しているオノだが、この展覧会では彼女の故郷である東京との関わりに焦点をあてる。

彼女の原点ともいえる幼年期の体験には東京の自由学園で過ごした日々がある。そこで彼女が受けた音楽教育はたとえば、時計の音など日々の生活の中で聞こえてくる音をもとに作曲するといったものだった。アートと日常とを隔てずに考える彼女の態度はこんなところから育まれたのだろう。

1964年には2年半の東京滞在の集大成として「グレープフルーツ」が刊行される。読者が「想像しなさい。西から東へ一匹の金魚が空を泳いでいくところを。」といった"指示"に従うことで完成するアートとも言える、啓示的な書物だ。ジョン・レノンもこの書に触発されて「イマジン」の詞を書いたといわれる。展覧会には葉書に記されたタイプ原稿やオリジナルの手書きの指示絵画などが並ぶ。「グレープフルーツ」が東京で生まれたプロセスが少しずつ見えてくる。

1969年、日比谷野外音楽堂での「WAR IS OVER!」キャンペーンや1974年、環境をテーマにした「One Step Festival」への参加など、オノは60年代からは積極的に社会的なメッセージを発信、またそれを包含するコンセプチュアルなアート作品を発表している。近年では各地で起きた暴力をテーマにした作品も制作している。それらはオノ個人の記憶を超えて、見る人の心に訴えかけてくるものだ。

会期中、五十殿利治氏の講演会(11月21日)やWish Treeのイベント(12月9日)なども予定されている。オノ・ヨーコから広がるアートの海に、さらに深く潜っていける。

text: Naoko Aono

「オノ・ヨーコ|私の窓から」
会期:2015年11月8日〜2016年2月14日
会場:東京都現代美術館
東京都江東区三好4-1-1
tel: 03-5777-8600(ハローダイヤル)
10:00〜18:00(入場は閉館30分前まで)月曜(11月23日、2016年1月11日は開館)、11月24日、12月28日~2016年1月1日、1月12日休
入場料:一般1200円
http://www.mot-art-museum.jp

1オノ・ヨーコ《クラウド・ピース》1963年/2005年《北海道のためのスカイTV》十勝千年の森の恒久展示の一部 ©YOKO ONO 2015 
クラウド・ピースのインストラクション「雲が滴り落ちることを想像する。その雲を入れる穴を自分の家の庭に掘る。」 1963年春

2オノ・ヨーコ《FROM MY WINDOW: Salem 1692》2002年、顔料/カンヴァス、個人蔵 ©YOKO ONO 2015

3オノ・ヨーコ《チェア・ピース》1962年、「ジョン・ケージとデヴィッド・チュードアのイヴェント」(京都会館、 1962年10月12日)で行う 写真:吉岡康弘、個人蔵、Courtesy of Lenono Photo Archive ©YOKO ONO 2015