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ジョン・ウッド&ポール・ハリソン 説明しにくいこともある

ジョン・ウッド&ポール・ハリソン 説明しにくいこともある

二人の男が淡々と作る、世界の“百科事典”のような映像。

15 12/02 UPDATE

イギリスのアーティスト、ジョン・ウッド&ポール・ハリソンは1993年から共同で作品を制作している二人組。主に短いシークエンスの映像作品を作っている。一時期Eテレの「2355」でも放映されていたこともあるから、見たことがある人も多いだろう。日本では初めての本格的な回顧展が東京で開かれている。

この展覧会では彼らの作品を4つのパートに分けた。二人自らが画面に登場する「パフォーマンス」。一人がテーブルに乗っていて、もう一人がテーブルの脚を1本折る。傾いてきたテーブルの上の男をもう一人が支える、といったシークエンスだ。2つ目はコピー機やボールなど身近がユーモラスな動きをする「アニメーション」。アンプの前に吊されたマイクが左右に揺れていて、揺れが小さくなると聞こえてくる音も変わる、といった作品が続く。3つ目が、テキストがあるものもないものもあるけれど、ストーリー性を感じさせる「物語」。そしてハリウッド映画などからインスピレーションを得た「映画」の4セクションだ。完全なクロニクルではないけれどほぼ年代順に並んでおり、彼らのこれまでの軌跡をたどれる。

展覧会タイトルも人を食った感じだ。
「何かを説明しようとするとき、自分がわかっているような気持ちになっていても、その途端にわかっていないことに気づく。また僕たちはときに合理的でない選択をすることもあるけれど、これも"説明しにくい"。だいたい僕たちがなぜこんな作品を作っているのかもよくわからないしね」。展覧会のため来日したジョン・ウッドは言う。

ウッド&ハリソンの作品は独特の間合いが特徴だ。登場人物は彼ら自身を含めてほぼ無表情、劇的な音楽や、何かをほのめかすような意味ありげな影もない。彼らは「自分たちが理解する世界の姿を見てもらいたい」のだという。また、個々の作品を別々に見るのではなく、その集大成を一つの作品としてみて欲しい、とも考えている。彼らは「世界で起きているさまざまなことの"百科事典"を作っている」のだ。

「世の中には面白いものがまだまだたくさんある。そのすべてに興味がある」というウッド&ハリソン。彼らの"百科事典"がどんなものになるのか、気になる存在だ。

text: Naoko Aono

「ジョン・ウッド&ポール・ハリソン 説明しにくいこともある」
会期: 開催中〜2016年2月21日
会場: NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]
東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階
tel: 0120-144199
11:00〜18:00、月休
一般500円
http://www.ntticc.or.jp/

(クレジット)
1《26(ドローイングと落下物)》2001年
2《100回の落下》2013年
3《DIYVBIED》2012年
4《車/湖》2014年