honeyee.com|Web Magazine「ハニカム」

Mail News

村上隆のスーパーフラット・コレクション--蕭白、魯山人からキーファーまで--

村上隆のスーパーフラット・コレクション
--蕭白、魯山人からキーファーまで--

アーティストが妥協のない目で集めたコレクション

15 12/28 UPDATE

アンゼルム・キーファー、奈良美智、曾我蕭白、北大路魯山人、縄文土器、李朝陶磁器、アンティーク家具。この一見脈絡のないものの共通項は何か? それはアーティスト、村上隆がコレクションしているものだ。アーティストとしてだけでなく、ギャラリストやプロデューサーとしても活躍する彼が密かに買い集めた"お宝"が横浜美術館で公開される。

展示室を占拠するコレクションの量はもちろん、その幅広さにも驚かされる。エントランスを入ったところにある大空間、グランドギャラリーには飛行機の残骸かと見まがうキーファーの大作や、マウリツィオ・カテラン、李禹煥らのインスタレーションがひしめき合う。「日本・用・美」と題されたセクションには江戸期の絵画や仙厓義梵らの禅画、縄文から民藝までの器などが工芸も絵画も区別なく並ぶ。陶製のビールジョッキやペタンクの玉などアートやクラフトとは違うジャンルに属するものも。玉石混交、ノーロジックが彼のコレクションのコンセプトなのだ。こうしてあらゆるものをフラットに受け入れる村上の姿勢は彼自身の作品にも通じる。森美術館で開催中の「村上隆の五百羅漢図展」出品作に狩野一信や長沢芦雪、白隠慧鶴から現代のアニメまでが縦横無尽に引用されているのを思わせる。

「芸術起業論」の著書もある村上は、アートのビジネスとしての側面やアート・マーケットに関しても積極的に発言している。アートを購入し、所有すること、その背後にうごめくさまざまな欲望。村上が自らの作品同様に渾身の力を込めて蒐集したコレクションからはそんなことも透けて見える。今までにない視点からアートを見せる展覧会だ。

text: Naoko Aono

「村上隆のスーパーフラット・コレクション
-蕭白、魯山人からキーファーまで-」
会期: 2016年1月30日〜4月3日
会場: 横浜美術館
横浜市西区みなとみらい3-4-1
tel: 045-221-0300
10:00〜18:00 木休(2月11日は開館)
一般1500円
http://yokohama.art.museum

1村上隆とスーパーフラット・コレクション
Photo: Kentaro Hirao
2アンゼルム・キーファー 《メルカバ》 2010年 
© Anselm Kiefer. Courtesy Gagosian Gallery, Photo by Charles Duprat
3北大路魯山人《織部 四方鉢》 昭和時代