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工場萌えF

工場萌えF

SF名作をも想起させる工場の機能美に萌える

09 4/01 UPDATE

うわっすっげえ......と思わず溜息が漏れてしまう巨大な鉄の塊。機械の山脈。何に使われるのか(一般人には)まったくわからない、しかし、機能美があることはわかる。その機能美に圧倒されたとき、人は「萌え」てしまう。「工場」に。

本書は、「工場の外観を目で見て観賞する」という行為を巷に広め、一大ヒット作となった写真集『工場萌え』の続編。拡大版と言うべきか。著者はもちろん、名ブログ『工場萌えな日々』管理人の石井哲と、(団地美の専門家でもある)大山顕。日本各地の工場が、これでもかと登場するのはもちろん、今回は海外まで出張。なかでもすごいのが、フランスとの国境近いドイツの街、フェルクリンゲンの製鉄場。その威容、威厳、ハンパないスケール感もさることながら、86年に閉鎖されたこの廃工場、なんと94年には世界遺産に登録されたのだという! まさに「工場萌え」は人類共通の文化! 欧州では、こうした廃工場を公園として市民に開放、人気を呼んでいるのだという。

初代『スター・ウォーズ』が世界に衝撃をあたえたころ、日本人が鼻高々になったのは、スター・デストロイヤーはじめ、宇宙船のミニチュア・モデルの多くに、日本製のタミヤ・プラモデルのパーツが流用されている、と知ったからだった。もちろんSFなのだから、あの「機能美」っぽいもの、「機械」っぽいものが、どうやって動くのかなんて、誰にもわからない。しかしルーカスが萌えたように、ほぼ全人類があの美に萌えた。

そんな美的な場所が、工業地帯というある種身近なスポットにあることを再発見させてくれるのが本書。このシリーズ、当分ずっと続けてほしい。そしていつの日か、ルーカス(か、誰か)が、工場がそのまま変型して巨大ロボになるような......そんな映画を作らないものかと思う。

Text:DAISUKE KAWASAKI (Beikoku-Ongaku)

『工場萌えF』
石井 哲 写真/大山 顕 文
(東京書籍)
1,995円[税込]