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銃の基礎知識--銃の見方から歴史、構造、弾道学まで

銃の基礎知識--銃の見方から歴史、構造、弾道学まで

銃に関する「究極のハンドブック」

09 6/05 UPDATE

必要ない本かもしれない。持っていると、まずいのかもしれない。というか、これが普通に書店で市販されているというのは、明らかによくないような......。

銃に関する「あらゆること」が載っているのが本書。銃を持つ楽しみ、その意義、構造、機能、撃ったらどうなるか、撃たれたらどうなるか──それらのもろもろが、ボーイスカウトのハンドブックよろしく、簡潔に、わかりやすく、「実用的に」まとめられた内容。原題は『NRA FACT BOOK』。そう、マイケル・ムーア監督が、映画『ボウリング・フォー・コロンバイン』で全面対決した、悪名高き「全米ライフル協会」が、会員向けに発行した伝説のハンドブック。その初邦訳が本書。

翻訳者の小林宏明氏は、ミステリの邦訳から出発、職業上の必要性から「銃の知識」を高め、いまやその道の権威となった人物。であるから、ミステリ(とくに海外のもの)の愛読者の方は、これ一冊あると便利だと思う。へたな作家をも上回る銃の知識を得ることができるだろう。アクション映画ファンの人も同様だろう。

とはいえ、そういった「用途」など言い訳になってしまうぐらい、本書は面白い。日本人の我々が「表向き」奪われてしまった「銃」についての「知識」が面白い。

以前にこんなことがあった。とあるイギリス人のDJと東京で遊んでいたときのこと。制服警官の姿を見つけた彼は、僕にこう訊いた。「日本の警官って、銃持ってないんでしょ?」。違うよ、持ってるよ、と僕が答えたところ、彼はショックを受けたようだった。なぜなら、イギリスにおいては、警官は基本的に銃を携帯していないから。なのに、「イギリスよりもずっと安全な」日本でなぜ、警官だけが銃を持っているのか?

僕らが住んでいるこの世界において、知っておいて損はない知識が詰まった一冊だと思う。

Text:DAISUKE KAWASAKI (Beikoku-Ongaku)

『銃の基礎知識--銃の見方から歴史、構造、弾道学まで』
NRA・著 小林宏明・訳
(学習研究社)
1,995円[税込]