09 11/04 UPDATE
高い本(15,750円)であるし、デカい本(B4版変形)でもある。ほぼLPサイズで256ページ、ずっしり重い一冊なのだが、中身はある意味もっとヘビー級!の写真集がこれ。
いわゆる「聖地」というものがある。阪神なら甲子園、サッカーなら国立、UKロックならウェンブリー・アリーナ......といった卑近すぎる例から、中東のエルサレムに至るまで、各種各様の「聖地」がこの地上にはある。そんな聖地の中から、「これぞ」というハイレベルな場所を選択。世界中をめぐって撮りまくった、まさに人類の悠久なる精神史の現場をカタログ化したような一冊が本書。
まず、イギリスだったらストーン・ヘンジ、イースター島だったらモアイ像といった先史文明の遺跡。世界三大宗教、ヒンズー、インカ文明......ヨーロッパからはじまって、中東、アフリカ、アジア太平洋地域、南北&中央アメリカに至るまで、ありとあらゆる聖地が登場。写真がまず見事。著者は『ナショナル・ジオグラフィック』誌で活躍する人なので、そのクオリティは折り紙付き。それぞれの聖地が見事な写真と簡潔な文章にて、見開きごとに紹介されてゆく。これもまた、いにしえの『怪獣図鑑』ぽい構成で好感。そんな全ページを一気読みすれば魂飛ばされること確実。また、仕事に疲れたときなどに、エイヤッと適当に本書を開いて、そのページに満ちるホーリー・バイブを吸収するのもよし......。
本棚にあるだけで霊験あらたか、空気がきれいになるような。ときどき手にとっているだけで寿命が延びそうな。室内に世界中の聖地を揃えたいかたは、この値段とサイズにも絶対に納得の一冊でしょう。
Text:Daisuke Kawasaki(beikoku-ongaku)
『世界の聖地』
マーティン・グレイ著 池田裕・訳
(東洋書林)
15,750円[税込]