honeyee.com｜Web Magazine「ハニカム」

要するに書名のとおり、「バンド」のロゴを集めに集め、ずらっと一覧したものが本書。商標ロゴを集めた書籍は数あれど、バンド・ロゴだけをこれほどまでに揃えたものは空前絶後なのではないか。その数、なんと１０００以上！　取り扱いジャンルも広い。こういう企画なら、まず最初に登場しなければならないストーンズのベロ・ロゴのバリエから、グレイトフル・デッドのスカル──といったロック王道からはじまって、ヘア・ロック、エクストリーム・ヘヴィ、パンク、ポップ、オルタナティヴ、ヒップホップ、R&B、エレクトロ、カントリー、レゲエ......さすがにこれだけ集まると、大抵の人は「見たことないバンド・ロゴ」があるのではないか（僕も数点ありました）。明らかに「読めない」ものも数点......個人的には、スレイヤーのロゴ・バリエや、ジャームスの「円」が突然出てくるページのあたりが大変よかった。

ところで、我々がよく知る「プリントＴ」という文化とは、70年代、「バンドのツアーＴ」が大きく発展させたものだ。もちろん、ツアーＴのプリントは、まず第一に、バンド・ロゴがフィーチャーされることに決まっている。それが看板だからだ。男の代紋だからだ。であるから、バンド・ロゴに「なんとなく......」なんていう、気分だけのデザインなどいらない。逆に必須なのは「これしかない！」という強い意志──もしくは「思い込み」......そんなものが充満しているからこそ、本書に収録されているどんなロゴも、じつに「きっぱり」としていて、かっこいい。名は体を表し、そしてロゴ・デザインの形態が音まで鳴らす。まるでよくできたミックス・テープを聞いているときのように、ページを繰る手が止まらない、そんな楽しい一冊だ。

Text:Daisuke Kawasaki(beikoku-ongaku)