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直径10メートル以上もの巨大な筒のような機械が前面を削りながら進む。長いアームの先のドリルが高速で回転しながら固い岩盤を掘削していく。「Tunnel for iPad」はそんなトンネルの迫力ある現場を収録したiPad対応のアプリだ。長年、橋やダムなどを撮り続けてきた土木写真家、西山芳一の写真集的なアプリである。書籍『Tunnel』(社団法人日本建設機械化協会施工技術総合研究所刊/2005年/3500円)をもとに、新たに本邦初公開の30カットが追加されている。
収録された写真のほとんどが工事中のときのもの。関係者以外は原則立ち入り禁止だし、大半の工事は地中で行われるから、土木マニアでもその様子をかいま見るのは難しい。西山は許可をとって地下の工事現場に入り、ときには現場の人間でも入れないようなところに入れてもらうなど、関係者の多大な協力を得て撮影している。
その結果できあがった写真には、工事に携わる人でさえ見たことがないような光景が映し出されている。貫通したトンネルの上部から差し込む光、斜め下に向かって掘り進み始める巨大な機械、誘うように奥から差し込む赤や青の光。地下には私たちの知らない別世界がある、そんなSFのストーリが現実になったかのようだ。
スライドショー時には東京発のダブテクノユニット、Mystica Tribeによる音楽が流れる。ほんのり光る画面を眺めていると、別世界に引き込まれそうな気分になれるアプリだ。
text: Naoko Aono
アプリ・西山芳一写真集「Tunnel for iPad」
対応機種: iPad
カテゴリ: ブック
対応言語: 日本語・英語
販売予定価格: 850円(9.99USD)
リリース日: 2012年2月1日
[問] (株)108UNITED
[email protected]
リリース記念イベント開催
西山芳一と「ダムマニア」著者、宮島咲とのトークショー
日時: 2月11日13時〜14時
場所: Apple Store, Ginza
入場無料、予約不要。
[問] Apple Store, Ginza
tel: 03-5159-8200
第2東名・金谷トンネル(静岡県)
切羽に向かって掘り進めてくるジャンボ(先端に回転する削岩機がついた穿孔機械)。
首都高速中央環状品川線・大井ジャンクション(東京都)
斜め下に向かって掘り始める直前の巨大なマシン。
首都高速中央環状品川線・シールドマシン
工場で組み立てられる巨大なシールドマシン。
千葉トンネル(千葉県)
地上の川が増水したときに水を流し、地下河川となって洪水を防ぐためのトンネル。