10 8/17 UPDATE
「小さいけれど、完璧にアウディ」
ついに登場したアウディのプレミアム・コンパクト"A1"はそんな表現が相応しい。理由はもちろんクラス最高品質といって過言ではない、圧倒的な仕上がりの良さ。上級のA3やA4と同等レベルの質感を実現した。
エクステリアではライト類の丁寧で徹底した作り込みに始まり、高精度なキャラクターラインやパネルの隙間の小ささが印象的。インテリアではダッシュボード素材からウレタン塗装、スイッチ類の小さな金属調パーツまでがきめ細やかな表現で作られる。そしてそこにはコンパクトクラスながら完璧に表現されたアウディの世界観が作り出された。思い返せば、ここまで徹底して上質/上級を具現化したこのクラスの他車はないと気が付く。
メカニズムは基本的にVWポロと多くを分け合う。だが他のアウディ同様に、味付けおよびキャラクター付けは独自のもの。
搭載エンジンは1.4LTFSI=直噴ターボとなる。最高出力は122psで7速Sトロニックと組み合わせる。燃費性能は欧州値で19.2km/L、CO2排出量は119g/kmと優秀な数値を実現する。
実際に走らせるとVWポロとは走りが全く異なる。A1の方が明らかに手応えと重みのある(だがそれでいて切れ味の良い)ステアリングの感触を持ち、乗り味走り味にはポロにはない重厚感や落ち着きが生まれている。小さいハッチバックながら、カッチリした精度の高さや上質な乗り味走り味が感じられる点は、他にはちょっとない独自の味だ。
コンパクトカーながらもプレムアム志向な上質なモデルというキャラクターが明確なA1はしかし、本国では日本円にして170万円代から設定される。理由は最もコンパクトなアウディの販売台数増加を狙ってこの先のCO2排出量の企業平均を下げたいため。だがそんな理由があるにせよ、それを実現するためのコンパクトカーで"あくまで"アウディのプロダクトを貫こうとする姿勢には共感を覚える。つまり自身でブランドの価値や立ち位置をしっかり把握できている証だ。
日本市場への導入は来年の頭。1.4TFSI+7速Sトロニックで販売される予定で、価格はおそらく300万円を切るあたりだろう。果たしてアウディの"小さな高級車"はこのクラスにどう影響を与えるのか? とても興味深い1台だ。
Text:Manabu Kawaguchi
Audi A1 1.4 TFSI (欧州仕様)
価格:未定
定員:4名
全長×前幅×全高:3,954mm×1,740mm×1,416mm
ホイールベース:2,469mm
車重:1125kg
駆動方式:FF
最高出力:90kW(122ps)
最大トルク:200Nm(20.4kg-m)/1500-4000rpm
最高速度:203km/h
排気量:1390cc