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近年クロムハーツは、ファッションの枠組に捉れず、精力的に他社とのコラボレーションを行っている。なかでも安定した人気を得ているのが、1764年にルイ15世の認可を受け創業されたことでも知られる、バカラ社とのクリスタルである。

このシリーズは、2006年7月4日のパリの直営店のオープンと同時に発表された。開発に際し、両社ともに多くの時間と労力を注ぎ、約2年の歳月をかけ、理想を徹底的に追求し、基盤の完成へ到った。

今回の新作は、設立当時から存在しているクロムハーツを象徴するモチーフのひとつであるダガーをふんだんに使い、より深い切り子のカットで装飾を行っており、これを実践することは非常に難度の高い技術が要求されるのだそうだ。いつもながら容器をなぞる曲線は見事で、優雅さと重厚感に満たされている。またクリスタルという素材の性格も踏まえ、ファッションアイテムではそうそう出せない恒久性も大きな魅力である。

クロムハーツのコラボレーション全般に通じることは、互いの長所を理解しながら、それらをバランスよく両立させ、ユニークなアイディアで製品を形にしていることにある。そうすることで、適材適所に配置されたエレメントは、何時いかなる時も、的確で効果的な役割を果たしている。

Text:Tsuneyuki Tokano