honeyee.com｜Web Magazine「ハニカム」

ファッションの世界において、もっとも知性的なメゾンのひとつに数えられるメゾン マルタン マルジェラは、近年その活動の領域をさらに広げている。その一環として、2009年4月、世界最大級の家具の見本市である「ミラノサローネ」にて、インテリアデザインの発表を行った。

彼らは以前からライン⑬というコレクションで、オブジェや出版物を製作。また、インテリアデザインについては世界各国で開催された展覧会やイベントを通じてコンセプトを表現してきた。2008年にはその集大成ともいえる主要プロジェクト「ラ・スイート～エル・デコラシオン」をパリの建築・遺産博物館で発表している。

今回のミラノサローネでは、「マット、サテン、シャイニー」と題されたインスタレーションを通じ、メゾンが取り巻く環境、とりわけショールルームやオフィス、店舗といった場に焦点を定め、展示会場にパリ本社の一室を忠実に再現した180㎡のスペースを設置した。

その内部には、このメゾンを象徴する白い世界を基調に、無数のオブジェや家具が立ち並び、そのすべてが彼らが意図する効果を得れるように配置させ、この分野においても明確にヴィジョンを視覚化させ、話題を呼んだ。

彼らの創作物全般にいえることは、コンセプトを徹底的に完遂することで得れる固有のムードを有しており、彼らの衣服がアバンギャルドやリアルクローズなどといった多義的な言葉では形容しきれない要因もここにある。

こうして永続的に成長し続けるメゾン マルタン マルジェラのクリエイションは、さらなる表現の拡張とともに、次の時代へと向かう知性の創造を促進させている。

Text:Tsuneyuki Tokano