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メゾン マルタン マルジェラは、2009年4月、ミラノで開催された国際家具見本市「ミラノサローネ」に参加し、インスタレーション『Mat, Satiné, Brillant』を発表し、創作の領域をまたさらに一歩押し広げた。その活動の延長として、ミラノで発表したインテリアコンセプトを再構成し、東京のための新たなインスタレーションを現在トウキョウ店にて展示している。

この開催に合わせ、これまで不定期に展開してきたライン⑬「オブジェや出版物のコレクション」から新発表されたオブジェも合わせて展示販売され、ボトルランプ、マトリョーシカ、スノードーム、カレンダー、羽根ペンが一同に並んでいる。

彼らは以前からインテリアへの高い関心があり、世界中の直営店は、地域性や元の建築物の歴史を捉えたユニークな建築概念よってつくり出されている。そのため店舗はひとつとして同じ内装はないのだが、店内を覆う多様な白、コットンファブリック、トロンプルイユ、過去の異なるスタイルや時代または時間軸の結合、ユーモアのセンスなど、多くの共通項が存在している。

また今回のインスタレーションのタイトルである「Mat, Satiné, Brillant」は、このメゾンの白ペンキの塗り方を指す形容であり、白はメゾンにとってもっと重要なカラーで、脆さを通した強さ、そして時の経過の脆さ、調和、純粋、正直さの象徴でもあるのだという。それはつまり、単色の白「white」ではなく、複数形の「whites」なのである。

そこから生まれるオブジェのテクスチャーの質感はまさに「マット、サテン、シャイニー」と多彩であり、メゾン マルタン マルジェラの物作りの側面の一部を端的に表している。

Text:Tsuneyuki Tokano