honeyee.com｜Web Magazine「ハニカム」

これまで、ウェブを中心としたインタラクティブデザインの領域で強い存在感を示してきた中村勇吾。近年では、ハニカムでも特集しその中毒性の高さが話題になった岡村靖幸のミュージックビデオ「ぶーしゃかLOOP」や、NHKの教育番組「デザインあ」での映像制作など、その表現領域を更に広げている。

このたび、中村勇吾率いるデザインスタジオ「tha ltd.」が新たに手がけたのは、デジタルアートを配信する、全く新しいスタイルのインテリア・デバイス。「FRAMED」と名付けられたこのプロダクトは、36mmの薄いボディに55インチLEDディスプレイとコンピューターユニットを凝縮し、ウェブカメラ／マイク／WIFIモジュールを内蔵。更にはiPhone／iPodを操作リモコンやワイヤレスなトラックパッドとして用いる事で、本体とのインタラクションが可能という、デジタルアート専門のハイスペックで先進的なデバイスだといえる。一方、ガラスとステンレスによるスクエアなフォルム、素材やディテールまで美しく追求したプロダクトデザインによって、作品と空間を引き立てるインテリアとしても完成されている。これは全く新しい、インテリア・デバイスとして結実したプロダクトだと言える。

「FRAMED」で鑑賞するデジタル・アート作品は専用のオンライン・アート・ギャラリー・サービス「FRAMED GALLERY」を通じて配信され、世界中の作家によるアート・ワークを購入・コレクション、そして再生・鑑賞できる。サービスオープン当初は、独自のキュレーションによりセレクトされた作家によるデジタルアート作品が随時配信される。将来的には作家登録は一般開放され、誰でも自由に作品を発表、販売する事が可能となる。デジタルアートの新たなプラットフォーム、マーケットプレイスとしても機能する事を視野に入れているということだ。

この革新的なインテリア・デバイス「FRAMED」の発売に伴い、東京・表参道にショールーム「FRAMED SPACE」が3月初旬にオープンする。このショールームでは、実際にデバイスを触って体験できるほか、「FRAMED GALLERY」における最新のコレクションの常設展示、特定作家の企画展などが随時開催される予定。なお、オープン記念の第一回企画展として、中村勇吾による企画展「L／F」（仮題）が開催される予定となっている。

既にオープンした公式サイトではデバイスやコンテンツなどの情報に加えてオンラインの予約受注も開始される。絵画やオブジェを部屋に飾るのと同様に、デジタルアートで空間を彩る、新しいカテゴリーのインテリア・デバイス「FRAMED」。部屋、お店、オフィスなど、空間を彩るインテリアのかたちとして、新たな可能性が加わった。

text: Akihiro Hayashi