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2011年、エルメスの掲げるテーマは「現代に生きるアルチザン」。このテーマに呼応するように、普段は決して表に出る事のない、"影の主役"ともいえる、メゾンのアルチザン(職人)たちの手を追い、彼らの言葉を拾って、その「ものづくり」のエスプリを忠実に記録したともいえるドキュメンタリー作品がこの「ハーツ&クラフト」だ。
監督の二人はフランス国内のいくつかのアトリエを訪れ、乗馬用の鞍、シルクのスカーフ(カレ)、鞄(バーキン)、クリスタルの食器、シルヴァーのブレスレット...、エルメスを代表するそれらの製品が生まれる瞬間を記録する事に成功している。その細やかながら大胆な職人たちの手の動きは潔く、見ているだけで心地よい。
監督のうちの一人、イザベル・デュピュイ=シャヴァナは、このドキュメンタリーを作っている間、「人間が考えるのは、人間に手があるからである」という命題が念頭にあったのだと明かしてくれた。
アルチザンの手こそ、あらゆる「もの」の生まれるもとにある事は明らかで、原題の「Les Mains d'Hermès:エルメスの手」はそれを端的に示している。
驚くべきはその手に染み付いた技だけではない。すべてのアルチザンたちの意識、ものづくりという仕事への誇り、自分の手を通して生まれてくる製品への愛。これらが彼らの言葉の隅々からあふれていることである。
この短いドキュメンタリー映画の中に、エルメスの製品の価値についてそれを直接的に語ることは一切ない。にもかかわらず、メゾンのものづくりの根底に流れるエスプリを端的に伝えるその映像は、エルメスの製品の価値を理解するための大きな手助けとなるだろう。
銀座のメゾンエルメスの10階「ル・ステュディオ」にて「ドキュメンタリーフィルムから広がる世界」の特集プログラムの一作品として一般公開される。ご予約の上、この上映の機会を逃さずご覧頂きたい。
text:Shoichi Kajino
「ドキュメンタリーフィルムから広がる世界」
会場: メゾンエルメス10階 ル・ステュディオ
住所: 東京都中央区銀座5-4-1
上映期間: 2011年9月30日(金)
~11月27日(日)
事前予約 / 入場無料
上映時間: 土・日曜 11:00 / 14:00 / 17:00
金曜 19:00
予約受付: 9月9日(金)受付開始
*満席になり次第締め切らせていただきます。
[問] エルメスジャポン株式会社
tel: 03-3569-3300(受付時間 11:00~19:00)
※上映スケジュールの詳細など最新情報は下記のウェブサイトでご確認ください。
http://www.art-it.asia/u/maisonhermes