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現在国内外/シーン問わず常にその名が話題に挙がるKOHHが、最新作『DIRT』を引っさげたリリースツアー"DIRT TOUR"のプレミアム追加公演として開催した「KOHH "DIRT" TOUR 101」。パンク/ハードコアの聖地として知られる新宿のライブハウスANTIKNOCKを会場にした本公演は、想定されていた以上の熱気、そして狂気に溢れた一夜となった。
前売りチケットなし、当日券のみ販売ということで、開場前からANTIKNOCK前には長蛇の列。生粋のB-BOYから女子大生風の2人組、外国人、さらには鋲のついたライダースジャケットをまとったパンクな出で立ちの者まで、ありとあらゆるジャンルの人種が今か今かと開場を待ちわびていたのが印象的だった。
まず登場したのはこの日のゲストの一人であり、現在放送中の「フリースタイルダンジョン」でもおなじみのMC漢 a.k.a GAMI。MC漢もライブ中にユーモアを交えながら述べていたことだが、新宿の"ドン"であるMC漢が後輩アーティストのフロントアクトとしてラインナップすること、またそのオファーをMC漢が承諾したという事実そのものが、シーンの中でいかにKOHHが特別な存在であるかを如実に表しているように思う。
長きに渡り国内のアンダーグラウンドヒップホップシーンを支えてきたMC漢ならではの圧巻パフォーマンスの後、ステージは再度転換の時間に。この日、客層の幅と同様に印象的だったのが、KOHH登場直前のSEがMarilyn Manson "This Is The New Shit"だったこと。果たしてこれまで日本のヒップホップアーティストのライブの中で、Marilyn Mansonの曲が使用されたことがあっただろうか。
満を持してKOHHが登場すると、悲鳴とも取れるような歓声がわき上がり、KOHHの叫び声とともに『DIRT』の人気曲"Living Legend"へ。会場であるANTIKNOCK独特の雰囲気も相まり、まるでハードコアバンドのライブを観ているような錯覚に陥るほど、目の前で繰り広げられているそれは、誰もが想像し得るラッパーのライブとは全く異なる次元にあるものだった。
途中、LootaやDutch Montanaといったゲストに加え、サプライズゲストとしてAKLOや5lackらが登場し会場は大いに沸いたが、その一癖も二癖もあり、かつシーンを代表する人気ラッパーたちでさえ、KOHHの前ではその存在感も霞んでいたように感じられた。それほどまでに、この日のKOHHの表現力、カリスマ性は圧倒的だったのだ。
この日最後の曲となった"If I Die Tonight"を聴き終えて感じたことは、KOHHという存在はラッパーという一言で表現できるものではないということ。それはラップという手段を用いた甲本ヒロトのようであり、Marilyn Mansonのようでもある。それほど異質な存在でありながら、女子大生や地方の高校生にも受け入れられるポピュラリティも有しているのだ。
これからまだまだ続くDIRT TOURのどこかで、一度その姿を観ておくことを強くおすすめする。きっとこれまでに観たことのない、同時代に生きる本物のカリスマの存在を、肌で感じることができるだろう。
text: yk
『DIRT TOUR』
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