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音楽家の渋谷慶一郎、映像作家のYKBX、サウンドアーティストのevalaという各分野のトップクリエイターがおくる世界初のボーカロイドオペラプロジェクト『THE END』。伝統的なオペラでみられる「死とは何か？」「終わりとは何か？」という悲劇の構造を高解像度プロジェクター上の初音ミクを媒介にして現代に読み替える試みがなされ、公演のために膨大な数の高解像度プロジェクターとマルチチャンネスピーカーが劇場に運び込まれ、そこから溢れ出す音と映像の洪水が観客を飲み込んでいく。

2012年の山口情報芸術センター（YCAM）での初演以来、2013年5月にBunkamuraオーチャードホール、2013年11月にパリ・シャトレ座、そして昨年6月には国際的な芸術フェスティバルであるHolland Festival（ホランド・フェスティバル）招聘公演としてオランダ国立オペラ＆バレエシアターで上演され、いずれの公演も超満員の劇場からの大喝采とともに幕を閉じている。

その『THE END』がこの8月、ドイツ・ハンブルグとデンマーク・オーフスで上演されることが決定した。上演が行われる「ハンブルグ・国際サマーフェスティバル」と「オーフス・フェスティバル」はヨーロッパ最大級のアートフェスティバルとして知られており、現地からは熱い期待が寄せられている。「ハンブルグ国際サマーフェスティバル」では、世界中から招聘された50以上のビジュアルアートや映像などの演目のメインアクトとして上演され、また「オーフス・フェスティバル」では、世界中から30万人以上の来客が見込まれるなか、本作がデンマーク王室も鑑賞予定のオープニング・ガラ公演を飾る。精力的に活動する渋谷の動きから目が離せない。

text: Kohei Onuki