10 8/20 UPDATE
数シーズン前からHTCの新機軸として展開されはじめた、ヴィンテージシューズをリメイクする新コレクション。よい意味でこれまでのスタッズアイテムの印象を打ち破り、ヴィンテージに精通するジップ・スティーブンソンの感性がこれまでにない形で製品化されている。
コレクション全体を通じていえることは、使用されるシューズは希少性に偏重することなく、あくまでもジップの主観によって集められた品々であるという点と、リメイクは主に実用における弱点をカバーすることを目的に行われていることである。
例えば、写真左のジャンプブーツは、比較的古い年代のもので、木型が細みであることが特徴で、現行品にはないよさがある。ただし街履きとなると着脱が厳しいという難点が必ずつきまとう。そこでジップは、ヴィンテージのタロン社のファスナーを取り付けることで、この弱点をうまく解決している。さらにシューレースをブラウンのレザーに変えることで装飾面と雰囲気を高めている。なによりジップ自身がこのブーツのコレクターでもあるため、極めて象徴性の強い一足となっている。続いて、中央のウイングチップのシューズは、消耗されたソールをオリジナルとまったく別のレザーソールに張り替え、やりすぎない加減でドレスのカラーを加えている。右側のミリタリーブーツも着脱をスムーズにすることを目的にショート丈にカット。切り口を処理するためのパイピングのラインも美しくまとまっている。
確かにヴィンテージは魅力的であるが、そのままでは現代のファッションとフィットできないケースが多々ある。だが、これらのHTCのアイテムを例に見ると分かるように、なんらかの方法でその壁を取り払うことさえできれば、オリジナルにもレプリカにも見られない格別のオリジナリティをつくり出すことも可能なのだといえる。
Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato
ブーツ 36,750円[税込]
シューズ 31,290円[税込]
ブーツ 29,400円[税込]
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