honeyee.com｜Web Magazine「ハニカム」

本来は原宿には裏も表も無い。だが、そのとき、あの場所は「裏原宿」と呼ばれていた。90年代、今や世界にその名を轟かす多くの東京ブランドが産声をあげる。その拠点となったのが、その頃はまだ人もまばらだった原宿の隅っこ、裏原宿である。この場所で育まれた東京発信の新しいファッション、価値観は世界へと羽ばたく前に、まずは多くの日本の若者を虜にした。若者たちは「裏原宿」と呼ばれた場所で、ファッションからサブカルチャーまで多くの情報を学び、吸収し、自らの感性に磨きをかけていった。「whiz」のデザイナー・下野宏明も、その1人である。

当事者としてあるショップの店頭に立ちながら、様々なブランドに袖を通し、そこに描かれたグラフィックに感銘を受け、自らを服作りの道へと駆り立てられた。手刷りのTシャツに始まり、独立、ブランド発足、本格的なコレクション展開、ショップ「LUMP TOKYO」オープン、意外性のあるコラボレーションの数々......。そして遂に今年、ブランドは10周年を迎えたのである。はたから見れば順風満帆なブランドヒストリーではあるが、下野宏明自身にとってこの10年間は様々な苦労と、大きな喜びを感じてきたに違いない。そして、この節目の年にショップ「LUMP」の二度目の移転に加え、この10年間の軌跡を辿った280ページに渡るオフィシャルデザインブック『The decade of whiz limited.』の発売が決定。

また、ショップの移転オープンとなる8月28日（土）には、待望の秋冬コレクションの立ち上がりと同時に、10周年を記念して製作された7STARSによるデザインのポスターとＴシャツのセット、ポーターとのコラボレーションによるバッグがリリース。下野宏明という1人のクリエイター及びブランド「whiz」のこれまでの歩みと、今後の新たな一歩を是非、新たなショップの店頭で確認してほしい。

Text:honeyee.com