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キャントンは、1963年に創業した国産ジーンズブランドで、1968年に商標権の問題で事業の継続を断念したため、知る人ぞ知る存在となっていた。その日本におけるジーンズ製造のパイオニアが約半世紀の時を経て復活を果たし、ジーンズのルーツが生まれた19世紀のノウハウを、最高峰の日本の技術力によって昇華し、装いを新たに現代へフィットさせている。

代表的なモデルとなる写真中央のジーンズがそのレベルの高さを語っている。一見すると、かなりデコラティブなスタイルにも見えるが、大半のディテールは、経年変化、もしくは立体を形成させるために練れられたもので、安易な装飾はほぼ皆無。購入後の洗濯による水通しを視野に入れ完璧に計算されたシルエットは圧巻のひとことである。これ以外にも、左のジーンズでの特殊なインディゴ染めであったり、右端のモデルでは履きやすさを追求し前身頃と後ろ身頃を1枚で仕立て、表面のテープやロールアップなどで、強い個性を打ち出している。

時代を越えて新旧のデニムの技術を結びユニークなアイディアで形にしたジーンズは、「Made in Japan」の実力を物語る、ハイレベルな完成度を披露している。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato