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ヘラーズカフェとは、世界的な知名度を持つラリー・マッコインが運営するヴィンテージ クロージングのディーラーであると同時に、ウエアハウスとのコラボレ―ションによって展開するファッションブランドでもある。そのコレクションは、マッコインが所有するスーパーヴィンテージから、ワークウエアを中心に、できる限り当時の製法で生地を再現の行い、その後、一度リプロダクトしたサンプルを、いかにコンテポラリーなファッションとして昇華できるかを検討し、そこからさらに改良を加えるといったプロセスで製作している。

写真左のパンツは、19世紀末頃の「ウエストオーバーオール」と呼ばれていた時代のスタイル。バックヨークがなく、V字カッテンィング、ベルトループレスの細いベルトバンドにキャンドルポケットと、非常にめずらしい仕様が目白押しである。中央のシャンブレーシャツは現在市場で流行しているタイプとまた違った印象の1枚。当時の生活様式を物語るウォッチポケット、フルオープンタイプのシャツが出始めた時代のディテールの採用しつつ、オリジナルでは取り外しだった襟はボダンを閉めれるように縫い込みにすることでアレンジしている。いかにもなワーカースタイルのジャケットは、その世界では知られるシュタインフェル社のオリジナルファブリックを忠実に再現。インディゴ染めされたメンフィス産コットンの生地に、撚り杢調のストライプ柄がプリントされている。微妙に大きさの異なる4つのポケットもめずらしく、加工技術も他社を圧倒するほど抜きん出ている。

ウルトラマニアックなエッセンスを踏襲しつつも、あくまでも今の時代に適したバランスで整えられたヘラーズカフェのウエアは、アメリカンカジュアルの魅力や奥行きの一端を的確捉え表現している。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato