honeyee.com｜Web Magazine「ハニカム」

ベラフォンテは、長年ストリートのシーンで活躍してきた田中昇が、新しいスタイルを模索し立ち上げた新ブランドのひとつである。そのコレクションは、1950年代後半から60年代の初期の音や匂いに大きくインフレンスされており、よりパ―ソナルかつハードコアに、彼が真摯につくりたいと考えるワードローブを製作している。

ファーストコレクションは、アパレルも含め、ごく少数で展開している。なかでもオリジナリティの高いアイテムが、スタッズで装飾されたレザーのアクセサリーのシリーズである。他社ではまずみられないレザーのバンダナは、バンドも嗜む田中らしい音楽の匂いがする一品。ラムレザーの厚みは、ドレープ感を出しつつ、スタッズを打ち込める強度のバランスを調整している。もう一方のバッファローのレザーバッグは、ライダースのディテールを引用したポケットや、ラビット社の製品からサンプリングしたオリジナルのファスナーなど、独自の視点による細部へのこだわりが感じられる。またスタッズの配列は、いくつか用意されたパターンから選び、オーダーが可能となっている。

大きな変革期を迎えつつあるメンズファッションの世界において、今回の田中のアクションのように、自問自答にすることで新しいスタイルを模索しながら、新規マーケットへ挑戦するブランドが次々と台頭していくことが予想される。このような「個人主義」の到来をリアルに体現するベラフォンテのクリエイションは、インディペンデントなブランド特有の個性と魅力に溢れている。

photo:Masaki Sato
text:Tsuneyuki Tokano