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デザイナー宮下貴裕の「現在」をあらゆる角度から描き構成される『タカヒロミヤシタザソロイスト.』の世界。先日発表されたサードコレクションは、宮下が過去2回製作した自身の衣服に袖を通すことで得た「リアリティ」をエッセンスとして加え、そこからディテールや実用性を進化させ、ピースさらなる着こなしの幅と深みを与えている。

そのなかで話題性が高いコレクションが、オリバーピープルズとのコラボレ―ションによる『オリバーピープルズ フォー タカヒロミヤシタザソロイスト.』である。製作期間に1年の歳月を費やしたという全5型のコレクションは3月下旬の発売予定している。

製作は極めてユニークな手法で行なわれ、オリバーピープルズ社の倉庫に眠っていたデットストックのパーツをベースに、そこに新旧のさまざまな付属をパッチワークのように継ぎ足すことで、まったく新しいスタイルを完成させている。その結果として、生産されるアイテムはパーツの組み合わせが微妙に異なるため、実質的にすべてが「一点もの」となる。

こうした宮下のアプローチは、過去の製品の魅力と現代の素材や技術を直接的に繋げることで、この時代ならではのファッションにおけるクリエイションの可能性を示唆しており、これがコレクションのオリジナリティと直結している。

text:Tsuneyuki Tokano