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世界屈指のミリタリーウエアのマニアとして知られるデザイナー、ナイジェル・ケボーン。その旗艦店である「アーミー ジム - ナイジェル・ケボーン」にて、レッドウイングとの限定ブーツが先行発売される。まさに定番と呼ぶにふさわしい『CLASSIC WORK 6"ROUND-TOE』をベースにしたモデルは、3月下旬頃の発売を予定している。

今回の製品の最大の魅力は、絶妙なカラーで仕上がった、レッドウイング社特有の「ラフアウト」のレザーに尽きる。レッドウイングは自社のタンニング専用の工場を持つことで知られ、一部を除き、ほぼすべての鞣しをここで行なっている。これは靴の世界ではめずらしいケースだという。コストという観点から見ると、アメリカ国内で鞣すことはデメリットも大きいそうだが、その反面、塩漬けされていない原皮、「フレッシュハイド」の調達が可能となるメリットがある。入手された皮は、耐熱や耐久が必要となるワークブーツに欠かせないクロム鞣しによって、皮から革へと変化し、製品化へと向かう。次の工程では、ライニングを打たない1枚側での製作に適したHHグレードと呼ばれる厚みに、革の厚みが調整される。その後は、染色としなやかさを与えることを目的に、回転ドラムによる二次鞣しによって完成へと到る。

またラフアウトレザーの特徴として、革を薄くした断面を用いる通常のスウェードと異なり、革を1枚裏返した銀面を表として使用している点が挙げられる。これによって繊維密度がもっとも高い個所が傷つきにくくなるため、防水・耐久性ともに安定感が増す。この仕様は、アウトドア・ワーク・ミリタリーのシューズでよく使われている。さらにこのブーツの革は、起毛の風合いをやわらかくするために、オイルでの仕上げでなく、「ドライ タンド レザー」の仕様にしている。

定番アイテムの持ち味を活かしつつ、独自の視点でさらにスペックを高めたブーツは、ナイジェル・ケボーンのモノつくりと共通する点が多々あり、この限定シリーズの人気にさらに拍車をかけることが予想される。

text:Tsuneyuki Tokano