honeyee.com｜Web Magazine「ハニカム」

"シンプリシティの復活"を掲げ展開された、2011年春夏のプラダ。無駄がなく、隅々まで洗練されたそのスタイルは、1990年代に一世を風靡したプラダのミニマリズムを彷彿させながらも、前衛的で新鮮。そしてその足元を支え、ひと際存在感を放っていたのがこのウイングチップシューズだ。

ブローグとパーフォレーションを施した、フルブローグのウイングチップというクラシカルなアッパーに、レザー、ロープ、ラバーという異なる素材で作られた3枚のソールをセット。ドレスシューズの優雅な外観とエスパドリーユのような開放感、スニーカーのスポーティなエッセンスを見事に融合させた、シンプルでいながらもまったく新しいスタイルが美しい。

過度なデザイン性に頼るのではなく、いくつかのベーシックな要素をレイヤードすることで生み出されたミニマルな斬新性。ドレススタイルに合わせればさり気ない遊び心が演出できるし、カジュアルに合わせればモダンなドレスアップも狙える。着こなしを確実にブラッシュアップしてくれる傑作だ。

text:Jum Namekata