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アイアンマン2

アイアンマン2

進化を遂げたパワードスーツを身に纏い
狂喜乱舞する人気アクションシリーズ第2弾

10 7/06 UPDATE

数ある実写版アメコミ映画のなかでも無類の面白さに仕上がり、ハリウッドの問題児ロバート・ダウニー・Jr.を完全復活させちゃった前作。巨大軍需企業の社長(つまり死の商人)にして天才発明家のトニー・スタークが、アフガニスタンでテロ集団に拉致監禁。自分の作った兵器が敵にも味方にも使われていることを半殺しの目に遭ってはじめて思い知り、自ら開発したパワード・スーツを装着して脱出してからは、戦争撲滅のため世界の空を飛び回る「アイアンマン」として活躍する!......という、愛国心や大義だけでは戦争を語れぬ、いかにも現代らしいネジれた怪作だった。
 
で、「武器つくるのヤメま~す」「私がアイアンマンで~す」と公言し、時のヒーローとなったスタークだが、派手好き・目立ちたがり・オンナ好きの悪癖はちっとも治っていない(笑)。平和企業に方針転換した社を挙げてド派手なエキスポを開催、大観客の集まったオープニング・セレモニーで、ビキニのおネエちゃんたちがラインダンスを踊るなか空から登場、スタンダップ・コメディアンばりに一席ぶちかます。"仕事の関係"以上"恋人"未満の美人秘書ペッパー(グウィネス・パルトロウ)からは「あなたのエゴの産物でしかないわ」と一蹴されてもどこ吹く風、コマンド・サンボのような格闘技を使うミステリアスな新入社員で美女のナタリー(スカーレット・ヨハンスン)をちゃっかり身辺につけ、モナコ・グランプリに乗りこんで自らハンドルを握るとは、いくらなんでも自己顕示欲旺盛過ぎなスタークなのである(笑)。と、そのレースの場にいきなり乱入してきたのは、胸にはアイアンマンのようなリアクター(磁気的動力源)、無骨なパワード・スーツに身を包み、両手に長~く触手の延びた高圧電流ムチをもった凶暴なロシア人だった......!。
 
この男、スターク一家に恨みのある,元研究員のひとり息子イワン(科学者のくせに野蛮人のようなミッキー・ローク)。社の技術をそのままロシアに持ち帰ったので、息子のパワード・スーツもアイアンマンのものと同種のものなのだ。これに目をつけたのが、スタークを目の敵にするライバルの武器商人ハマー(こういう小賢しい役演らせたらお手のもののサム・ロックウェル)。折しもスタークはペンタゴンと上院右派から「そのパワード・スーツは紛れもなく武器だから個人が所有することは認められん。自分勝手なヒーロー行為も論外だ」と突き上げられていた(このあたり、アイアンマンという存在そのものが抱える矛盾をストレートに衝いている)。ここで国家にすり寄らない手はないと考えたハマー、イワンと結託して彼の技術をそのまま利用し、バッタもんのアーマー・スーツを開発しようと目論んだ。一方、リアクターの毒素が身体に回り始めたスタークはヒーローやってるどころじゃなくなって自暴自棄のダメダメオヤジになり......(しょうがねぇなあ)。
 
んまあ、前作より登場人物が多くなり、物語が複雑になったぶん、それぞれのキャラクターの描きこみがやや物足りなくなっちゃったというところはある。それはひとりひとりがなんせアクが強いからであって、いってみれば幾キャラかは事前にスピン・オフさえ目論まれていそうだ(スカーレット・ヨハンスン主役なんてもう積極的に観たいね。踏まれたい蹴られたいM男続出のはず。もうカッコよ過ぎ!)。
 
でも映画のつくりには妙に余裕があるのだ。それはコメディ色がより前面に押し出された出来になっているから。前作にしたって、荒唐無稽なストーリー以上に楽しかったのはスクリューボール・コメディそのままなダウニー・Jr.とパルトロウの掛け合い漫才であり、今回はそこんとこさらにパワー・アップ。ほとんど名人芸の域である。監督ジョン・ファヴロー自ら演じるスタークの運転手兼用心棒の出番も飛躍的に多くなり、コメディ・リリーフを飄々と務め上げてます。

Text:Milkman Saito

『アイアンマン2』

監督:ジョン・ファブロー
脚本:ジャスティン・セロー
出演:ロバート・ダウニー・Jr.、グウィネス・パルトロウ、ドン・チードル、ミッキー・ローク、スカーレット・ヨハンソン、サム・ロックウェル、サミュエル・L・ジャクソン
製作国:2010年アメリカ映画
原題:Iron Man 2
上映時間:124分
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン

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