15 11/24 UPDATE
『メリーに首ったけ』(99年)でキャメロン・ディアスの人気を押し上げたのが、監督のピーター&ボビー・ファレリー兄弟。そして本作は彼らが手がけた、ジム・キャリーの代表作であるコメディ『ジム・キャリーはMr.ダマー』の、なんと20年ぶりとなる続編だ。監督はもちろん、主演の二人のジム・キャリーとジェフ・ダニエルズも再集合だ。
オカッパ頭がトレードマークだったロイド(ジム・キャリー)はこの20年間、精神病院に入院している。髪やひげも伸び放題で、一言も言葉を発することなく、身動きさえしない。それでもハリー(ジェフ・ダニエルズ)は毎週、見舞いに訪れていた。すると、20年目にして突然、ロイドが「引っ掛かったな!」と叫ぶ。じつは、意識が昏睡しているふりという、20年かけてのジョークだったのだ。
ハリーはロイドに腎臓病を患ったことを告白。腎臓の提供があり次第手術をしなければならないが、そこへあらたに、ハリー自身も知らなかった、20年前に産まれていた彼の娘の存在がわかる。ロイドは現在の彼女の写真を見て一目惚れ。本物の彼女に会いたいロイドの恋心と、ハリーは養子に出された娘に腎臓を貰おうとする、二人の珍道中が始まる。
こうやって粗筋を書いていてもとんでもないが、本当にバカすぎて怖くなってくる。「20年も昏睡状態のふりをして、サプライズをしたら面白いだろう」という発想。映画だからできるとかではなく、映画であっても倫理が吹っ飛びすぎていて、笑うというより「よくぞやったものだ」と慄然としつつ感嘆する。
ジェフ・ダニエルズは普段は性格俳優として活躍しており、シリアスな映画が多い。なのにMr.ダマーに出てしまう、その極端さがすごい。本作にバカ役で出ているジェフ・ダニエルズは意外性があって面白いし、真面目に芝居をしている他の映画を見ても、Mr.ダマーの姿が頭をよぎってしょうがない。そのくらい、インパクトのありすぎる映画だ。
今回も、ひとつひとつのシーンが呆れるほどバカで笑えるので、ただボーッと眺めていればいい。でも一応、前作から引き続くキャラもいるので、前作の『ジム・キャリーはMr.ダマー』を見ておくと、より楽しめる。
それにしても、ロイドの精神病院サプライズは20年間かけていたが、この映画自体も20年ぶりの続編である。シリーズが20年かけたサプライズになっていて、でもだからといって何も変わっていないどうでもよさが凄い。徹底したバカっぷりや、無為であることはなかなかやれるものではない。映画はそんなくだらない態度であっても、でもやっぱり、ファレリー兄弟とジム・キャリーの映画を再び見られることは、すごく幸せに感じてしまう。
text: Yaeko Mana
『帰ってきたMr.ダマー バカMAX!』
監督:ピーター・ファレリー/ボビー・ファレリー
製作:ピーター・ファレリー/ボビー・ファレリー/リザ・アジズ
出演:ジム・キャリー/ジェフ・ダニエルズ/キャスリーン・ターナー/ローリー・ホールデン/ロブ・リグル
配給:東京テアトル
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