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パディントン

パディントン

お馴染みのベストセラーシリーズが原作の、幸福感に溢れた作品。

16 1/18 UPDATE

原作は誰もがお馴染みの、マイケル・ボンドのベストセラー『パディントン』シリーズ。今回はリアルなCGで、実写の中に溶け込んだ本物のクマっぽいパディントンとなっている。

ペルーの奥地から、ロンドンにやってきた、赤い帽子をかぶり英語を喋るクマ。彼は昔ペルーへやってきた探検家から伝え聞いた、憧れの英国へはるばる密航してやってきたのだ。しかし街行く人に「How do you do?」と古風な英国紳士らしく挨拶しても、無視されてばかり。途方に暮れていたところ、やっと声をかけてくれた優しいブラウン夫人のおかげで、ブラウン家に泊めてもらえることになる。

ブラウン夫人の善行は、驚嘆すべきものだ。同じ人間である難民の受け入れで揉める世界において、彼女は「人語を操るクマ」を受容するのだから......。だが一般的な反応として、他のブラウン一家の人々、特にブラウン氏は露骨にパディントンを警戒するし、さらに文明社会に不慣れなパディントンは、とんでもない失敗を繰り返す。だが彼の性格の良さは周囲を和ませ、街の人気者となっていく。

パディントンの声を当てているのは、いまや『007』のQ役で人気沸騰のベン・ウィショー。素直な青年らしい声が、パディントンの好感度や、日々が常に新鮮な冒険となる初々しさに貢献している。じつはパディントン役のリハーサルや録音は、最初はコリン・ファースで進んでいた。だが、監督もコリン自身もパディントンの声はもっと若く明るい方が良いという決断に達し、ベン・ウィショーに後を託している。

さらに、喋るクマという珍種を、剥製にしたいと狙う悪女役でニコール・キッドマンが登場。相変わらず美しく神秘的で、どこか素っ頓狂な感じがコメディの悪役として素晴らしい。元夫のトム・クルーズは『ミッション:インポッシブル』シリーズが人気だが、本作ではニコールが『ミッション:インポッシブル』のパロディを演じていて、みずからの経歴を楽しめるような強い女優魂を感じる。

最初は失望の続くパディントンが、ロンドンの人々と仲良くなって喜びを見出し、馴染んでいく光景が楽しい。当たり前のように赤い帽子と青いダッフルコートのクマが、英語を喋ってくつろいでいる姿。物語がシンプルな分、パディントンの愛嬌はフルスロットルだし、幸福感でニコニコしながら眺められる映画は、やっぱり良いものだと改めて思う。

text: yk

『パディントン』
監督:ポール・キング
製作:デビッド・ハイマン
製作総指揮:ロージー・アリソン/ジェフリー・クリフォード/アレクサンドラ・ファーガソン
出演:ヒュー・ボネビル/サリー・ホーキンス/ジュリー・ウォルターズ/ピーター・キャパルディ
配給:キノフィルムズ

公開中
http://paddington-movie.jp/

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