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神様はブリュッセルのマンションの一室に住んでいる。いじわるで暴力的な中年男の彼は、一台のPCで世界を管理し、自ら創った人間を不幸な目に遭わせて喜んでいた。そんな驚きの設定からはじまるベルギーの映画『神様メール』。『トト・ザ・ヒーロー』のジャン・ヴァン・ドルマル監督の最高傑作との呼び声高い本作は、ベルギーで『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を超える大ヒットを記録したという。

神様の娘であるエアは、母の女神とともに神様の横暴に耐えながら暮らしていた。かつて人間を救おうとしたイエスは、戸棚の上で小さな置物に扮してじっとしている。あるときエアは、父が支配している人間たちを救うため、イエスのアドバイスを得て「新・新約聖書」を書く旅に出ることを決意。家出の前に父の書斎に侵入し、PCをいじっていたら、全世界の携帯電話に余命を知らせるメールを送信してしまう。寿命を知った人間たちは、残りの命を自由に過ごそうと様々な不満に対する我慢をやめて、世界は大混乱。エアは洗濯機の中を通って人間の世界に降り立ち、書斎で無作為に選んだ6人の使徒を探しはじめる。使徒はそれぞれ問題を抱えて人生が上手くいかない、ブリュッセルの市民たち。エアはおかしな奇跡を起こしてその悩みを解決し、それぞれの言葉を記録した福音書を綴っていく。一方、エアを追って人間の世界にやってきた神様は、自分を「神」と呼ぶ頭のおかしいホームレスとして扱われて痛い目に。エアが水の上を歩くなど、全編に渡って聖書のパロディが次々と繰り広げられていく。

俳優陣で注目したいのは、使徒の一人で、夫との冷めた関係を捨ててゴリラと恋に落ちるリッチな主婦という異色の役どころを大女優の貫禄たっぷりで演じたカトリーヌ・ドヌーヴ。キュートでクールな主人公のエア役に挑戦した『サンドラの週末』のピリ・グロワーヌ、神様役に『ココ・アヴァン・シャネル』のブノワ・ポールヴールド、妻の女神役に『アメリ』『ミックマック』のヨランド・モローと、ベルギーを代表する個性的な俳優たちがクセの強い登場人物たちを演じている。不思議でユニーク、ともすれば不謹慎とも取られかねないストーリーをシュールなユーモアで笑いに昇華する、インテリジェントな作品だ。

本作の上映を記念して、読者の皆様に『神様メール』の試写会とスペシャルグッズをプレゼント。試写会場ではベルギーのフルーツビール、リーフマンスの試飲会も実施。スペシャルアイテムには、ベルギーのバッグブランドkipling（キプリング）とのコラボレーションによる「モンキーキーリング」やオリジナルのエコバッグ、クリアファイルがラインナップ。詳細をご確認の上、奮ってご応募ください！

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text: Ryu Nakaoka