11 10/04 UPDATE
ドイツ・ケルンを拠点に活動する世界最高峰のテクノ・レーベル "KOMPAKT"。創設者のMichael Mayerを中心に、DJ Koze、Gui Boratto、The Field、また日本からもKaitoといった、ダンスミュージックファンのみならず、ジャンルレスに幅広い支持を得るアーティストを数多く排出している超名門レーベルだ。
そんな一癖も二癖もあるKOMPAKT所属アーティストの中でも、そのポップネス溢れる音楽性で特に異彩を放っているのが、Justus Kohncke (ユスタス・コンケ)だ。80年代よりジャーマン・エレポップグループ "ワールプール・プロダクションズ"のメンバーとして活動し、テクノ・ポップの大名曲 "From Disco to Disco"を発表、その後ソロ・アーティストとしてKOMPAKTとサインしてからはより洗練された、ミニマル・ディスコとも形容できるユニークな楽曲を数多くリリースしている。
そして今回リリースされるのは、ユスタスが1999年に自主制作レーベルiCi Recordsからリリースした、事実上のファースト・アルバム "Spiralen Der Erinnerung"のリイシュー。ジャニス・イアンやポール・マッカートニー、キャロル・キング、ニールヤングといった、ユスタスの音楽性に影響を与えてきた70年代ロック/ポップスの名曲を、ユスタスのフィルターを通してカバーした、エレポップ・カバーアルバムだ。当時はアナログ版のみのリリースで、これまで一度も再発されず、ファンの間では高値で取引きされてきたレア盤の復刻。
近年流行しているチルウェイヴ/グローファイといったシューゲイザー的ダンスミュージックにも通じる音と世界観、どこか気の抜けたテンションながらも、10年以上前の作品とは到底思えない圧倒的なクオリティを誇る楽曲で構成された今作。カバー・アルバムとして原曲へのリスペクトを感じさせつつも、ミニマルな電子音とポップネス溢れる独自のアプローチで、オリジナルとは全く異なる仕上がりとなっている。従来のファンはもちろん、ユスタスを知らなかったという方にも、是非彼の音楽性とポップ・センスを体感してほしい。
text:honeyee.com