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THINK PIECE

RYOTA AOKI × SHIN SUZUKI

陶芸家・青木良太と写真家・鈴木心が問いかける、新しい価値観。

11 12/21 UP

photo:Shin Suzuki, Ryota Aoki text:Madoka Hattori

──
青木さんは陶芸だけでなくアート界からも注目を集めていますよね。
A
「アートでいうニューヨークのような場所が、陶芸では日本にあたります。海外ではワンプレートで済ませているところを、日本人は肉じゃがはこれ、サンマ皿はこれ、といった料理に合わせた器の種類が豊富です。だから需要が沢山あり、陶芸家も沢山いる。沢山いれば、それだけレベルもあがっていくわけで、世界中の人が日本で陶芸をやりたいって思うんです。僕自身、アートにも興味があって4年前に小山登美夫ギャラリーに声をかけていただき、世界中のアートマーケットを色々見てきました。でも1年くらい前に、どうでもいいやって思ったんです。僕の最終目的は、陶芸をより多くの人に知ってもらうこと。だから、アート界に入るかどうか、そこで評価されるかどうかということは重要ではないと気がついたんです」

──
より多くの人に陶芸を知ってもらうために、青木さんは若手の陶芸家を集めたイベント「イケヤン☆」を主催していますよね。
A
「僕はずっと陶芸家になりたくて、28歳頃には陶芸で食べていけるようになった。つまり、夢がかなったので陶芸に感謝しているんです。イケヤン☆をやろうと思った理由は、陶芸に恩返しがしたくて、そのためには陶芸界を盛り上げることしようと思ったんです。多くの若い陶芸家が食べていける環境ができれば、きっと盛り上がっていくだろうと。でも一番の理由は、食べていけない頃に出会った仲間がいると、辞めない原動力になるということ。辞めていってしまう人も多いので、あいつが頑張っているなら僕もがんばろうって思えるようになればなと」
──
鈴木さんは名古屋で開催された「イケヤン☆」に行かれたそうですが、若いエネルギーや陶芸界の盛り上がりを感じましたか?
S
「正直に言うと、盛り上がってはいるけど、馴れ合いみたいにもなっているように思えました。どうしても人が増えると伝わりづらいということなのかなと。僕もワークショップをやっているのですが、プロとして残っていく人は自然に残るから、自分のやることをやりなさいと言われることがあるんです。でも、写真の技術やノウハウを共有するだけではない、人と人との繋がりやそこでのコミュニケーションから生まれてくるアイデアが大切なんですよね」

 

A
「そう。イベントを企画するって本当に大変。作品だけ作っている方がよっぽど楽です。でも、そうやってみんな自分の利益だけを追求しているから、陶芸が廃れていってしまうんです」
S
「価値観が大きく変わったんだよね。僕らの世代はシェアすることに柔軟です。大学生の頃には音楽を共有したりすることが一気に広まった。その頃から、買わなければいけない、所有しなければいけないという考えから、自分から何かを提供するというクリエイティヴなやりとりをするようになった。またインターネットを通じて個人個人で繋がることができるので、大きなメディアを介さなくてもそのやりとりが簡単にできる。だから、僕らには権威主義のような考えが少ない。それこそが上の世代に対する価値観のカウンターになると思っています」

 

青木良太 作品集『 a Potter 』

限定500部。エディション・サイン入り
¥3,500
企画・制作: 陶芸家・青木良太、写真家・鈴木心、アートディレクター・吉田ユニ
http://www.macmuseumshop.com/category/index.php?cat=105


『RYOTA AOKI Exhibition』

会場: 六本木ヒルズA/Dギャラリー
会期: 2012年1月10日まで
時間: 12:00〜20:00
入場料: 無料
http://www.ikeyan.jp/events/all/1021