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THINK PIECE

Shintaro Sakamoto

「一回死んでから楽しくやるみたいな感じ」

11 12/16 UP

photo:Yuji Hamada text:Akane Fujioka location:LIQUIDROOM

 

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「フィリピンパブの箱バンが、スタンダードをやってるのをいい雰囲気で見ているような」とおっしゃっていたってことですかね。
「なんか言えって言われればそうですけど(笑)。微妙なのもいっぱいあって、まあ“木みたいな感じの音”とかね。生えてる木じゃなくて、木で作られた物みたいな感じ、とか。あと、“一回死んでから楽しくやる”みたいな感じがあるかもしれないですね」
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「あの世でみんな何してるかな?」という歌い出しから始まる『思い出が消えていく』は、切ないけど牧歌的でほのぼのしてしまう感じがする一方で、『ずぼんとぼう』ではエロとフックさせているかのような言語感覚のテクニックに坂本さんのユーモアやセンスを感じるのですが、歌詞を考えている時はどのようなことを想像したり、妄想されたのですか?
「やっぱり、今作ではどうしても制作途中に地震があったので、そこは避けて通れないと思いましたね。震災後、普通に生きていてわざわざ歌詞のある曲を歌うという時に、どういう言葉だったら自分がしっくり歌えるかっていうところで、今回のような感じになったと思うんですけど」

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2年前の某誌でのインタビューでは、「夢の無い時代に夢を与えるみたいなのは結構マジメに考えてますよ」と発言されていましたが、今作もその意味合いは含まれていますか。
「基本的に自分がどういうレコードを聴きたいかというのをすごく考え、そこに忠実に作ってるってだけですけどね。自分が聴きたいと思う音楽を作れば、同じように聴きたい人がいるんじゃないのかなっていう考え方ですかね」
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「君はそう決めた」のPVは、iPadのアプリで自作されたそうですね。
「今回流通をお願いしている会社のスタッフの方と、PVを作ったほうがいいんじゃないのかなという話になったので。今回ひとりでやっていてそんなに予算も無かったのですが、バンド時代からずっとプロモーションビデオを作ってくれてている監督さんが、アニメだったらこういう方法でやったらわりと簡単に作れると教えてくれたんです。その監督さんが色んなソフトを調べてくれて、その中で一番簡単でその割に質もそんな悪くないという170円の“アニメーションクリエイター”っていうアプリを使いました。パラパラ漫画みたいな感じで直接タッチペンでiPadの画面に描いていくんですが、ドラムに合わせて16ビートのハイハット1個分で1枚と計算して、起きてる時間はひたすら作業してました」
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そのアプリ以外にもiPadを使ってますか?
「全然。他のアプリは使ってません。iPadはPV制作のために買って、それだけです。まあ、元は取ったって感じです(笑)」

 

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.fataleに小泉今日子さんが登場されたことがあるのですが、『モテキ的音楽のススメ』では小泉さんが「空洞です」をカバーされてました。内心ちょっと嬉しかったりしました?
「ああ、そうですね。嬉しいです。僕は会ってもないし何もしてないし、全然接点ないですけどね。自分の曲が歌われて不思議な感じはしましたね」
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最後に、ライヴをされるご予定があれば教えて下さい。
「今のところ無くて、今回のアルバムをそのままライヴでやるという発想はないので、やるとしたら全然違うことをやるっていうのはあるかもしれないんですけど。アルバムのツアーみたいなのは少なくとも無いですね」
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アルバムを出されたばかりですけど、次回作のことは考えてますか?
「それも今は全然無くて。また何か自然に出てくるまでほっとこうかなと思ってますけど」

 

坂本慎太郎 『幻とのつきあい方』

Zelone zel-002S(初回限定版)
2800円[税込](全曲のインストヴァージョンを収録したボーナスCD付き)

Zel-002(通常版)
2625円[税込]

http://zelonerecords.com/

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