Ryan McGinley “Reach Out, I'm Right Here”
“手を伸ばして、僕はここにいるよ”
ライアン・マッギンレーの写真とエネルギー。
12 9/18 UP
photo: Shoichi Kajino text: Naoko Aono
「Pygmy Goat (Calla Green)」
©Ryan McGinley Courtesy of the artist and Team Gallery, New York
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- プロジェクトとプロジェクトとの間に休んだりはしないんですか。
- 「いや。休みなしにずっと続けてる」
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- 新しいアイデアを得るためにブレイクは必要では?
- 「僕の場合アイデアはたいてい、働き続けることから生まれてくる。旅や撮影時のミスやサプライズから生まれることも多い。カメラを落として蓋があいてしまい、フィルムが感光して黄色が爆発しているようなパターンができて、おっすごい、これを意識的に作れないかな、という具合に。『ケイブ』のシリーズ(洞窟の中でのヌード写真)も旅の途中で友だちが洞窟に連れていってくれたことから始まった。『アニマル』も友だちのそばに動物がいておもしろそうだな、と思ったのがきっかけだ。ビーチやプールでのんびりしているときにアイデアが浮かぶ、という人もいるけど、僕はそういうタイプじゃない」
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- これからどんなものを撮りたいと思いますか。新しいプロジェクトも考えているのでは?
- 「このあとも作品を作って本を出して展覧会をやって、というサイクルだね。それがアーティストの人生だ。できれば作品が売れて、次の作品の制作費になるといい。世界中のいろんな場所で展覧会を開いてもっとたくさんの人に見てもらいたい。冬には雪の写真を撮ろうと思ってる。秋に木の葉がいろんな色に色づくのもいいな。それと、日本の桜を撮るのが夢なんだ。とくに散っていくところが好き。風に吹かれて自由に動いていくのを見ると空間が抽象化されて、歪んでるみたいに感じる。散った花びらは僕の好きなコム デ ギャルソンの水玉模様の服みたいだ。みんなが桜に夢中になる様子も好き。僕がカメラを構えていても全然眼中に入らなくて、もうトランスしているとしか思えない(笑)。あとはフィルムを撮りたい。インディペンデント映画みたいなものか、セミ・ドキュメンタリー。クリストファー・オーウェンズのドキュメンタリーはぜひやりたい。彼とはよく一緒に過ごすけど、すごく才能があって、繊細で、複雑な人間だ。フィルムにはもちろん、彼の音楽をつけようと思ってる」