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「IN SITU - 1」展

「IN SITU - 1」展

アートが生まれるプロセスを見る。

14 10/07 UPDATE

アーティストのアトリエで作品が作られていくプロセスを間近に目撃する。そんな稀有な体験ができる展示が東京、パリ、ミュンヘン、3つのエスパス ルイ・ヴィトンで開かれている。エスパス ルイ・ヴィトンでは初めての3館合同、オープンアトリエ形式の展覧会だ。

東京では韓国出身のソ・ミンジョンが11月28日まで制作、来年1月4日まで完成作品を展示する。ソは昨年のあいちトリエンナーレ2013で、発泡スチロールの板で実物大の建築物を作り、それを破壊して再構成するというインスタレーションで話題を呼んだ。東京のエスパス ルイ・ヴィトンでも制作をサポートするスタッフと一緒に、発泡スチロールの塊と格闘している。彼女の頭の中にあるものが空間を覆い尽くしていくのが待ち遠しくなる。

パリでは6月からアメリカのアーティスト、アンドレア・バワーズが制作を始め、9月末から完成作品の展示を始めた。ロサンゼルスを拠点にする彼女はフェミニズムや労働者の権利、地球温暖化、エイズなどの社会問題を扱う作品で知られている。パフォーマンス、ドローイング、写真、インスタレーションなど、多彩なメディアを組み合わせた作品を彼女は「複雑なパズルのよう」という。大きな蝶のグラフィックや写真、紙などを組み合わせたインスタレーションが迷宮のようにエスパスを侵食する。

ミュンヘンのエスパスで9月から制作を始めたのはシンガポール出身のシムリン・ギル。彼女も彫刻、写真、ドローイング、テキストと多彩なメディアを駆使したインスタレーションを制作してきたアーティストだ。ときに、道端に捨てられていたものや海岸に流れ着いたものなど、安価な素材も使って個人的な体験と世界との関係に着目した作品をつくっている。これまでの作品の中には、パーソナルなものに見えて政治的な文脈が読み取れるものも。私たちの凡庸な日常生活も政治と無縁ではいられないのだ。

3人の女性が3つのエスパスで繰り広げる、現在進行形のアート。その場で何が起こるのか、アートが生まれる現場に立ち会うことができる、貴重なチャンスだ。

text: Naoko Aono

「IN SITU - 1」展
ソ・ミンジョン
会場:エスパス ルイ・ヴィトン東京

東京都渋谷区神宮前 5-7-5 ルイ・ヴィトン 表参道ビル 7 階
tel. 03-5766-1094
12:00〜20:00
不定休
開催中〜 2015 年 1 月 4 日
オープンアトリエ期間: 開催中〜11 月 28 日
完成作品の展示期間: 11月29日〜2015年1月4日
入場無料
www.espacelouisvuittontokyo.com

アンドレア・バワーズ
会場:エスパス キュルチュレル ルイ・ヴィトン(パリ)
60, rue de Bassano, 101, avenue des Champs-Élysées, 75008 Paris
T. +33 1 53 57 52 03
12:00~19:00(日11:00~)
開催中〜2015年1月4日
12月25日、2015年1月1日休
入場無料

シムリン・ギル
会場:エスパス ルイ・ヴィトン ミュンヘン
Maximilianstraße 2a, 80539 Münche
開催中〜2015年1月18日
12:00〜19:00(土10時〜18時)
日曜休
入場無料

1エスパス ルイ・ヴィトン東京でのソ・ミンジョン制作風景
©Louis Vuitton / Jérémie Souteyrat Courtesy of Espace Louis Vuitton Tokyo

2エスパス キュルチュレル ルイ・ヴィトン(パリ)でのアンドレア・バワーズ制作風景
©Urubu Films / Louis Vuitton

3シムリン・ギル「Eyes and Storms」(2012、2013年)、「Half Moon Shine」(2013年)ヴェネツィア国際芸術ビエンナーレ・オーストラリア館での展示風景
photo by Jenni Carter
Courtesy of the artist and Tracy Williams, Ltd., New York