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ホンマタカシ「Seeing Itself-見えないものを見る」

ホンマタカシ「Seeing Itself-見えないものを見る」

千余年の歴史を持つ太宰府でホンマタカシが見たもの。

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菅原道真公を祀る太宰府天満宮は千百年あまりの歴史を誇る神社。菅原道真公は学問の神様としてだけでなく、文化の神様としても古くから崇められ、和歌や連歌、歌舞伎、書画が盛んに奉納されてきた。太宰府天満宮ではアートとの縁が深い歴史を踏まえ、2006年から国内外のアーティストが太宰府で取材・滞在、その体験を経て制作した作品を発表する「太宰府天満宮アートプログラム」を実施している。アーティストの目を通じてみた太宰府や太宰府天満宮の姿を世界に発信するプロジェクトだ。9回目になる今年はホンマタカシが登場。太宰府天満宮のほか、近隣の竈門神社で制作した作品が並ぶ。

出品作の一つ、暗がりを光が切り裂く不思議な写真のシリーズは、太宰府の霊山「宝満山」に入って撮ったピンホール写真。天満宮宝物殿で展示される。この世のものではない光が直接目に飛び込んでくるような神々しささえ感じさせる。宝満山にある竈門神社は玉依姫命(たまよりひめのみこと)を祀る神社。魂(玉)と魂を引き寄せる(依)ことから縁結びの神として信仰されてきた。「宝満山」は峰入りや護摩焚きなど、神仏習合の信仰が色濃く残る霊山。私たちが生まれるより遥か昔から祈りの対象となってきた場所を撮った写真には展覧会タイトルの通り、見えないものまで写っているような気がしてくる。

太宰府天満宮宝物殿にはこのほかに太宰府天満宮の神事に関連した映像作品や、プリントによる作品が並ぶ。屋外には、観光地によくある100円玉を入れると一定時間見えるようになる双眼鏡をのぞいて観賞する作品も。5月19日〜5月24日は竈門神社参集殿で、ピンホール作品の制作現場となった一間を再現した展示も行われる。展覧会タイトルの「Seeing Itself」は見ることそれ自体に着眼するホンマがよく口にするフレーズ。見えないものを見るプロセスで写真がどのような役割を果たすのか、私たちの思考に何か変化があるのか、"実験"をするような展覧会だ。

text: Naoko Aono

ホンマタカシ「Seeing Itself-見えないものを見る」
会期:2015年4月26日〜8月30日
会場:太宰府天満宮宝物殿
福岡県太宰府市宰府4-7-1
tel. 092-922-8225
宝満宮竈門神社
福岡県太宰府市内山883
9:00~16:30(入館は16:00まで)
月曜休(4月27日、5月4日、18日、25日、7月20日は開館)
入場料(一般)400円(竈門神社の屋外展示は双眼鏡利用料として別途100円が必要)
http://www.dazaifutenmangu.or.jp/art/program/vol.9


竈門神社 限定作品公開
会期: 2015年5月19日~5月24日
会場:竈門神社参集殿
10:00~16:00
観覧料:宝物殿のチケットで観覧可能
ピンホール作品の制作現場となった一間を6日間限定で再現

©Takashi Homma
Courtesy of Dazaifu Tenmangu Shrine, Fukuoka, TARO NASU, Tokyo