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I'M STILL

I'M STILL

「私は藤田ヒロ。身体が動かないALS患者。
私を静物デッサンのモデルにしてください。」

16 6/24 UPDATE

筋萎縮性側索硬症(ALS)患者の藤田ヒロが、ALSの認知、理解促進を目的として、自ら絵画のモデルを務めたイベント「I'M STILL」が5月末に開催された。

この驚きのアイディアは、モデルが長時間静止していないと描けない絵画にこそ、ALSの状況を表現する手法として必然性があるはずだという考えから生まれた。人によっては抵抗を感じかねない発想だが、もともと一流の広告プランナーであるヒロは、常識を覆し、人の心に刺さるような尖った表現を愛する人物。ロジカルで戦略的な広告表現としてこの企画を提案されたとき、ヒロは視線で文字を入力した。「omoroi」。

車椅子を押されて会場入りしたヒロは、最初の挨拶からいきなり彼流のジョークを飛ばす。「リクエストのポーズにお応えします」、「なるべくお応えしたいですが、乳首だけはNGとなっておりますので、ご了承下さい」。デッサンがスタートして、参加者が画に集中しているときにも、ヒロから話しかける。「何か話すべきですか」。美大への募集やFacebookの投稿から集まった30名の参加者は、オーソドックスなデッサンだけでなく、色鉛筆画や水彩、手で直接キャンバスに絵の具を塗りつけていくスタイルなど、思い思いの手法で彼を描き、完成した絵をヒロに見せて、本人からコメントをもらった。目から流れる涙を描いた男の子に対してヒロは、「うまいね」と言いつつ、「涙うける」とユーモアも欠かさない。描かれた作品は、その日、GOOD DESIGN Marunouchi内に飾られた。

ヒロの体力的にも、自身が大々的にイベントに出演するのはおそらく今回が最後になりそうだという。しかし、今後は、記録映像をHOW TOムービーとしてインターネット上で拡散させ、世界中のALS患者に同様のイベントを開催してもらうことが構想されている。コストもテクノロジーもほぼ必要としないため、世界中のどこでも同じイベントを再現可能なのもこのイベントの特徴だ。そして描かれた絵をプロジェクト全体のWEBサイトに集積し、ヒロの得意とする広告表現に活用する予定で、ポスターやビルボード、映像などへの展開を検討中。

現在、END ALSの公式Facebookページで描かれた絵画と当日の模様の動画が公開されているほか、絵画の展示を6月27日(月)から7月1日(金)まで新青山ビルにて、7月22(金)から24日(日)までGOOD DESIGN Marunouchi丸の内にて予定。また、7月18日(月)にNHK Eテレでヒロのドキュメンタリー番組が放送される。

photo: Hana Takemoto
text: Ryu Nakaoka

END ALSの公式FACEBOOKページにて、描かれた絵画と当日の模様の動画が公開中。
絵画
動画(※PCの場合、リンク先を開くと同時に再生されます)

「I'M STILL」展示スケジュール
6月27日(月)〜7月1日(金)
新青山ビルB1F
東京都港区南青山1丁目1-1

7月22(金)〜24日(日)
GOOD DESIGN MARUNOUCHI
東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル1F

藤田ヒロのテレビ出演
NHK Eテレハートネットテレビ
ブレイクスルー File.56
「アイム・スティル -難病ALSの広告プランナー・ヒロ続編-(仮)」
放送日時:7月18日(月)20:00〜
www.nhk.or.jp/heart-net/tv

END ASL公式サイト
end-als.com