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GROOVE  Autumn 2008

GROOVE Autumn 2008

「レコ屋の名店」をきっちり紹介する反時流の好特集

08 12/02 UPDATE

世界中、どこの街に行っても、同じことをしている。同じような場所を、必ず訪れている。古書店、古着屋、そして、中古レコード店──もっとも、どこの街のこうしたお店も、そこで売られている商品は、よそで仕入れてきたものなのかもしれない。とはいえ、旅行者であるこちらの身には、それらの品揃えから、その土地土地の手触りというか、そこに住む人の顔が見えてくるような気がするものだ。かなり昔、大阪の日本橋で中古盤店めぐりをしたとき、アル・ヤンコビックの品揃えがやけに厚いことに驚いた思い出がある。あんなもん、誰が買うんだ?と思っていたのだが、(たぶん)「これ、オモロイで」とか、大阪人が続々と購入していたのだろう(そして、すぐに手放したのだろう)。これと似たような思い出(?)がある人も、多いんじゃないだろうか。

ここで取り上げるのは、DJ志望くん向けの雑誌『GROOVE』08年秋号。「レコ屋の名店を求めて」という特集が、とてもいい。日本各地、そして世界の「いいレコ屋」を、店内撮影し、紹介した内容。本数は決して多くはない(東京は一店のみ!)。厳選したショップを、まるで女性誌のお店紹介記事のように、きっちりと見せてゆく、という構成が新鮮だ。レコードの売買がネット中心へと移行し、次々と街のレコ屋が閉店してゆく昨今、そんな時流に真っ向反逆する熱いスピリットがここにはある。「あくまでも、街の中に、レコ屋がなくてはいけない!」──これだけで一冊作ってほしいぐらいの好特集。

Text:Daisuke Kawasaki(beikoku-ongaku)

『GROOVE Autumn 2008』
(リットー・ミュージック)
680円[税込]